今年も盛り上がり必至! 『ムーラン・ルージュ!』が待望の再演 平原綾香×井上芳雄、望海風斗×甲斐翔真ゲネプロレポート
よりパワーアップしたキャスト陣に最後まで引き込まれる
続いてゲネプロの2日目は、望海サティーンと甲斐クリスチャンのコンビ。望海は劇中のショーでの登場シーンから、ため息が出るようなゴージャスさをまとう。強気な態度のなかにもふと頼りなげな表情を見せる一方、後半には「Crazy Rolling」を力強く歌い上げるなど、望海の持つ魅力がたっぷりと味わえる。サティーンは、まさにハマり役といえそうだ。 クリスチャンを演じる甲斐は、初めての恋にがむしゃらに進んでゆく様子を瑞々しく表現。その一途さゆえに、次第に目の色が変わっていくさまが痛切だ。 不器用で憎めない人柄がにじむのは松村ジドラー。経営を立て直そうとする必死な姿に庶民の哀愁が漂う。華やかな立ち姿に傲慢さと酷薄さも感じさせるデューク役の伊礼にも注目したい。ロートレック役の上川とサンティアゴ役の中河内は、コミカル成分が多めの役づくりで観客からは笑いが。それだけに、ここ(クラブ)にあるものはすべて俺のものだと言い放つデュークに、ロートレックがきっぱりと“私たちは誰のものでもない”と返す、ボヘミアンの矜持を示すシーンが胸に響いた。 ゲネプロの合間には、キャストによる囲み会見も行われた。望海は「お客様と一緒に作り、盛り上がれる作品。今年はそれを分かった上でスタートできるのが嬉しい」と笑顔。平原もうなずきながら、「海外スタッフチームは『芝居の部分で一番泣けるのは日本版』と言ってくださって」と自信をのぞかせる。 「豪華な舞台だけに、チケット代も上がりましたが……」と茶目っ気たっぷりに話すのは井上だ。「その分、それに見合うもの・それ以上のものをお見せしようと頑張っています」と意気込む。昨年、出演後にパリのムーラン・ルージュを訪れたという甲斐は、「雰囲気を味わってきたので、より鮮明に物語をお届けできると思います」と、こちらも気合い充分だ。 「一層こってりとしたジドラーをお見せしたい」(橋本)、「僕はあっさりと、でも少し猥雑な部分も加えて」(松村)、「曲の間に(ヒュー!など)客席で声を自由に上げられる、新しいミュージカル」(伊礼)、「作品と、歴史の刻まれた帝劇とがすごくマッチしていると、韓国版のスタッフからも感想が」(K)など、それぞれが多方面から注目されていることを実感している様子。暑い夏、「さらにパワーアップした」(望海)本作は、見逃せない1本と言えそうだ。 取材・文:藤野さくら <公演情報> 『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』 出演:※各役50音順 サティーン:望海風斗 / 平原綾香 クリスチャン:井上芳雄 / 甲斐翔真 ハロルド・ジドラー:橋本さとし / 松村雄基 トゥールーズ=ロートレック:上野哲也 / 上川一哉 デューク(モンロス公爵):伊礼彼方 / K サンティアゴ:中井智彦 / 中河内雅貴 ニニ:加賀楓 / 藤森蓮華 ラ・ショコラ:菅谷真理恵 / 鈴木瑛美子 アラビア:磯部杏莉 / MARIA-E ベイビードール:大音智海 / シュート・チェン 【アンサンブル(E) / スウィング(S)】※50音順 ICHI(E) / 乾直樹(E) / 加島茜(E) / 加藤さや香(E) / 加藤翔多郎(E) / 酒井航(E) / 篠本りの(S) / 杉原由梨乃(E) / 仙名立宗(E) 高橋伊久磨(E) / 田川景一(E) / 田口恵那(E) / 茶谷健太(S) / 富田亜希(E) / 平井琴望(E) / 堀田健斗(S) / 三岳慎之助(E) 宮河愛一郎(ダンスキャプテン E) / 米島史子(S) / ロビンソン春輝(S) / 和田真依(S) 【東京公演】 2024年6月20日(木)~8月7日(水) 会場:帝国劇場 【大阪公演】 2024年9月14日(土)~28日(土) 会場:梅田芸術劇場メインホール