女子ゴルフツアー初V阿部未悠は「イ・ボミの妹弟子」だった 福岡での高校時代に専属コーチに師事
7日まで行われたゴルフの富士フイルム・スタジオアリス女子でツアー初優勝を果たした阿部未悠は、ゴルフ留学で中学と高校時代を福岡で過ごした。練習に励んだアカデミーで特別コーチを務めたのは、日本ツアーでも活躍したイ・ボミさんの専属コーチだった。 ■チョ・ボムス氏の指導を受ける高校時代の阿部【写真】 =西日本スポーツ2017年12月21日付= 北海道出身の女子高生ゴルファーが大きな夢に向かって成長中だ。阿部未悠(17)=福岡・第一学院高博多キャンパス2年=は2020年東京五輪の日本代表を目指し、中学から福岡にゴルフ留学。「集中してうまくなりたい」と通信制高校で学び、昨季まで女子ツアーで2年連続賞金女王に輝いたイ・ボミ(29)の専属コーチ、チョ・ボムス氏(64)が特別コーチを務める福岡市のアカデミーで練習に励む。月の約半分のペースでマンツーマン指導を受け、同世代のジュニアの中でも注目の存在になりつつある。(西口憲一) 目標も弾道も決してぶれない。JR博多駅に近いオフィスビル内のインドア練習場。道産子ゴルファーの阿部が迷わず、言い切った。「東京で金メダルを取りたい。競技の復帰が決まったときからの夢です」。通信制の高校に進学したのも明確な理由がある。「ゴルフは日中にやるスポーツなのに、その時間帯に学校で机に向かうのはもったいないから」。プロテスト合格、女子ツアー優勝、日本代表入り…。そんな青写真を描いてる少女にとって心強い味方が、チョ・ボムス氏だった。 約1年前に助言を受ける機会があり「この先生だったらうまくなれる」と直感。韓国などでの海外合宿にも参加し、米国パームスプリングズではイ・ボミとも同じ時間を過ごした。ボムス氏は今夏福岡市に誕生したアカデミーの特別コーチに就任。「インドアなので球筋を気にせず、徹底してスイングを固められる」。阿部にとっては願ってもないタイミングだった。①メンタル②感覚③体力―ボムス氏が説く、世界を舞台に戦う為に必要な3項目をテーマに課し、クラブを振り続ける。 マンツーマンで指導するボムス氏は阿部をこう見る。「欲が強すぎて逆に自分から崩れるメンタルの弱さが課題だったが、克服しようと努力している。このまま成長すれば、プロで成功するチャンスは出てくる」。パーオン率が上がり、100㍎以内を含めたショートゲームの精度も向上。10月の九州高校ゴルフ選手権新人戦大会(肥後サンバレー)で初優勝を飾った。11月の全九州クラブチャンピオンズゴルフ大会(熊本空港)のレディース学生の部は2日連続のベストスコアで制するなど乗りに乗っている。 活躍が「ボミの妹弟子」としてメディアに取り上げられるようになった。「ボミ・オンニ(韓国語でお姉ちゃんの意味)に許可をもらっていないのに新聞の見出しになったりして…。ちゃんと報告しないと」。11月末にはリコーカップ(宮崎)に出場したボミに会いに行った。「全然! いいことだから気にしないで」と笑顔で肩をたたかれ、勇気百倍。クラブハウスで食べたチキン南蛮のおいしさとともに忘れられない一日となった。 「コーチ、施設…。今の環境は本当にありがたいし、超充実しています。コーチから言われている『練習は試合、試合は練習』を実践できるようにもっと力を付けたい」。伸び盛りの17歳。未来への可能性は無限大だ。
西日本新聞社