かつては満蒙開拓の歴史の地……内モンゴルに住むモンゴル人わずか16%
日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面したモンゴル国は独立国家ですが、同じモンゴル民族の内モンゴル自治区は中国の統治下にあります。近年は目覚ましい経済発展の様子が知られる一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土がどんどん失われてきているといいます。 その内モンゴル自治区出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。 ----------
2001年に来日し、気づいたらすでに16年経った。 私は、内モンゴル高原の中部に位置するシリンゴル盟のシローンフフというところに育った。草原というより、砂漠地帯で緑豊かなオアシスがたくさんあるところである。 子供の頃は夏休みになると、シリンホト市から田舎に遊びにいくのが一番の楽しみだった。その時、私の地元では季節ごとではなく、夏と冬の二回のみ遊牧が行われていた。夏はゴゴステインゴルというオアシスの小さな川の両岸に、親戚ら7、8家族からなるホトエールというコミュニティを結成し、夏を過ごしていた。
内モンゴルについては年配の方なら、満蒙開拓やノモンハン事件などでは馴染みがあると思う。 地理的にいうと万里の長城より北の中国北部に東西に長く伸びている地域、モンゴル国の南に位置する。面積は118万平km、人口は2471万人(2010年)、その内、モンゴル人は400万人以上と言われている。内モンゴル自治区全人口の16%しかいない。それに遊牧民として生きている人々はもっと少なくなる。(つづく) ※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮るーアラタンホヤガ第1回」の一部を抜粋しました。 ---------- アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA) 1977年 内モンゴル生まれ 2001年 来日 2013年 日本写真芸術専門学校卒業 国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。 主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。