「光る君へ」藤原道長は『ゴッドファーザー』アル・パチーノをイメージ 柄本佑、プレッシャーを明かす
映画『ゴッドファーザー』は、アメリカの小説家マリオ・プーゾの同名小説をフランシス・フォード・コッポラ監督が映画化した家族の愛憎ドラマ。ニューヨークで権威をふるうイタリア系マフィアのドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の三男として生まれた堅気のエリート・マイケル(アル・パチーノ)が血で血を洗う抗争に巻き込まれていくストーリーで、第45回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、脚色賞を受賞。続編となるPARTII、PARTIIIも制作された。
柄本は「その時ちょうど何の因果か、池袋の新文芸坐で『PARTII』を観たばかりだったんですよ。“あれかい!”と思って……」とくしくも、大石と打ち合わせをする直前に『ゴッドファーザー PARTII』を観たばかりだったと驚きを明かす。
「光る君へ」では右大臣(現在は摂政)・兼家(段田安則)が父で、兄の道隆(井浦新)と道兼(玉置玲央)、姉の詮子(吉田羊)という家族構成。一族がそろう画を目にしたときには「すごくきょうだいに見えるなと思って驚きました」と柄本。なかでも、手段を問わず出世していく兼家を演じる段田に「お芝居をご一緒させていただいてしびれました」と刺激を受けたようで、「新さんの柔らかいんだけどどんどん攻撃的になっていく様と、玲央さんの狂気。羊さんを含め周りのキャラが強すぎるので、初めのころはなるべく薄く居ようと、存在感をいかに消せるかみたいな感じで演じていました」という。しかし、決して兄たちの前を行こうとしなかった道長にも大きな変化が訪れる。 「道長もまたこれから、父や兄たちの遺志を受け継いで政治に向かっていく。本当の自分と、藤原を残していくためにトップに立つことのギャップみたいな部分が葛藤に繋がっていくのかなという風に思っています。明確にそのシーンもありますし。ゆくゆくは最高権力者になっていくわけですけど、演じるにあたって一番大事になるのは最高権力者であることを意識しないことなんじゃないかと。結局は1人の人間であるということ。当然、世の中のことを考えて帝を導き、采配をふるう立場にあるんだけれども、根っことしてあるのは第9回の道長。直秀ら散楽の人々が殺されたときに手で土を掘って埋葬し、彼らにまっすぐに謝る。さらにベースとなるのは、末っ子ののんびりやであったというところ。そのあたりは大事にしたいと思っています。そうでないと、ふわふわしたものになってしまうような気がするので」