新型ヒョンデ アイオニック5 Nは現代のランチア デルタ インテグラーレだ!!! 新時代のホットハッチに迫る
ヒョンデのEV「IONIQ 5」に追加された高性能バージョン、「N」に小川フミオが韓国で試乗した。驚くほど痛快な走りに迫る! 【写真を見る】新型アイオニック5 Nの細部はこちら(104枚)
誰でもドリフト走行を楽しめる!?
ここまで電気自動車がやれるのか! と、驚いたのが、ヒョンデの新型IONIQ 5 N(アイオニックファイブ エヌ)だ。レースのDNAを注ぎ込んで作ったEVである。2023年11月、韓国で試乗した。 アイオニック5 Nのお披露目は、2023年7月に英国で開催されたスポーツカーの祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」だった。 大きな話題を呼んだスーパーEVは、ドライブした私の期待通り、わくわくする走りを味わわせてくれた。クルマ好きがハンドルを握ったら、ぜったい欲しくなるはずだ。 なにしろ「エンジン車の楽しさをEVに移し替え、そこにEVでないと実現できない性能を上乗せしたクルマ」(開発に携わったエグゼクティブテクノロジカルアドバイザーのアルベルト・ビアマン)と、言うのだ。 コーナリング力、サーキット走行性能そしてデイリーユースのスポーツ性が、このクルマの3つの柱というが、最初の2つは、まったくそのとおりだった(3つめは未確認……)。 ベースのアイオニック5より車高を下げ、空力パーツを付加し、かつシャシー剛性を上げるため溶接ポイントを42箇所も追加し、要所要所のパーツの取り付け剛性なども高めたという。 さらに、加速タイムを短くするブースト機能、モーターと組み合わせたリミテッドスリップデフ、ドリフトオプティマイザーなど、最新技術が満載だ。 誰でも(ちょっとおおげさ)ドリフト走行を楽しめる、と、ヒョンデが謳う「ドリフトオプティマイザー」は、セリングポイントのひとつ。 ヒョンデでは“ドリキン”ことレーシングドライバーの土屋圭市にも試乗の機会を与えて「EVでドリフトできた最初のクルマ」(プレス資料)という発言を引き出している。 土屋圭市が今年、中国の珠海サーキットで、EVのBYD「シール」もドリフトさせていたのを私は目撃しているので、要するに、EVが、さまざまなドライブが楽しめる新しい時代に入ったと解釈するのが妥当だろうか。