満足度1位の春ドラマ『アンメット』、原作と主人公を"入れ替えた"理由「生きる力を感じられる物語に」
“主人公を入れ替える”大胆な采配
原作では三瓶が主人公ではあるが、ドラマではミヤビが主人公としてストーリーが展開される。“主人公を入れ替える”という大胆な采配を決断した理由について、米田氏は「ミヤビだけではなく毎話登場する患者に少しでも近い目線で描けたら、という願いがありました」と説明を始める。 「『本作は生きる力を感じられる物語にしたい』と考えており、ミヤビを主人公に据えることで、困難を抱えながらも日々懸命に生きている姿を彼女の目線で描けます。ミヤビが朝起きて日記を読み返すシーンを繰り返し描いている理由も、ミヤビの苦労や強さを見せるためです。また、そんなミヤビが患者に寄り添っていると、視聴者に患者の葛藤や挑戦をより想像してもらいやすくなると考えました」 とはいえ、原作者・子鹿ゆずる氏は主人公変更という提案をどう受け止めたのか。しかし、この大胆なアイデアは子鹿氏に快く受け入れてもらったと振り返る。 「私が原作を見つけた時点で、映像化のオファーがたくさんあったそうです。やはり『ミヤビを主人公にしたい』という思いが強く、リスク覚悟で三瓶ではなくミヤビを主人公にした状態で企画提案しました。子鹿先生からは『面白い挑戦ですね』『ミヤビが主人公の作品を見てみたい』と面白がってもらいました。子鹿先生は『女性の心情はあまり描けません』『だから三瓶を主人公にしました』と冗談めかしに話したんです。だからこそ『自分では描けないミヤビの心情がどのように描かれるのか』ということに興味を持たれ、結果的にそこが決め手になってドラマ化させていただくことになりました」 すでに数話放送されており、子鹿氏のリアクションも気になるところではあるが、子鹿氏からは「視聴者として楽しんでいます」という連絡をもらったと米田氏は口にした。 『アンメット ある脳外科医の日記』の注目度を大きく高めた要因として、やはり1話に登場した失語症を患った赤嶺レナ(中村映里子)の存在が大きい。失語症に苦しむレナの姿を見事に表現した中村の熱演により、視聴者の心をグッと掴んだ印象を受ける。インパクト十分のこのシーンの裏側を聞くと、「レナのおかれた状態を、レナの目線で視聴者が体感できるような表現を目指しました。一方で、当事者の方々が不快に感じたり、誤解を招いたりするような表現にならないように細心の注意を払いました」と話す。 「とはいえ、失語症と言っても人によっては症状が異なり、確実な正解がないために手探り状態が続きました。ただ、私の母親が数年前に脳腫瘍の手術を受ける前、『神経を傷つけた場合に言葉が失われるかもしれない』という説明をお医者さんから受けたことがあります。その際に『言葉が失われるかもしれない』ということを、『ハングル語のように聞こえることがある』『聞いたことのない外国語が飛び交っているように聞こえる』など具体的に説明してもらいました。こうした私の経験も1つのヒントとして、 子鹿先生はもちろん、医療監修してくれる先生といろいろ話ながら進めました」 最後に『アンメット ある脳外科医の日記』をどのように楽しんでほしいのかに関しては、米田氏は「どう楽しんでいただくかは人それぞれです。思い思いの楽しみ方をしていただき、その中で私たちのメッセージを受け取ってもらえると嬉しいです」と語ってくれた。 『アンメット』は毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送中だ。
ENTAME next編集部