ロマンス詐欺「救済」うたい名義貸しの弁護士に執行猶予付き判決 言い渡し後に裁判官「被害回復望む人に弁護士への信頼に大きく影響」「支えてくれる家族もいるので反省して」
ロマンス詐欺の被害救済などをうたい、弁護士資格のない業者に自分の名義を貸した罪に問われた弁護士に大阪地裁は執行猶予付きの判決を言い渡しました。 判決によりますと、大阪市北区の弁護士・川口正輝被告(39)はおととしから去年にかけ、弁護士資格のない広告会社の役員らに自分の名義を使わせ、国際ロマンス詐欺などの被害救済をうたう法律業務を行わせました。 これまでの裁判で川口被告は「間違いありません」と起訴内容を認め、「弁護士全体に対する信頼を毀損してしまい反省しています」などと述べていました。 一方、検察側は「広告会社の役員らから『対応は事務員が行うので手間はかからない』などと誘われ、報酬として1億5500万円あまりを受け取った」として懲役2年を求刑していました。 18日の判決で大阪地裁は「被告は、売上を上げたい気持ちから持ちかけられた話に乗り、利益の約3割という高額な報酬を受け取っていて、強い非難に値する。17人から合計約1800万円という多額の着手金を支払わせるなど、組織的かつ大規模におこなわれたものであり、弁護士法の趣旨に大きく反するだけでなく、弁護士の信頼をも大きく損なわせる悪質なもの」などと指摘。 そのうえで、被告が反省の態度を示していることや、すでに破産手続きが始まっており、被告の財産から被害弁済される可能性があることなどを考慮し、懲役2年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。 その後、中井太朗裁判長が被告に「詐欺被害に困っていて回復を望んでいた方々に対して、あなた自身だけでなく、弁護士に対しての信頼にも大きく影響がありました。そういう意味で重大な事件であることを、重く受け止めてください。支えてくれる家族もいるので、反省して、このようなことが今後ないよう注意していただけたらと思います」と言葉をかけると、被告は静かにうなずきました。