安野モヨコ「こんなに長く一緒にいると思わなかった」。ドタキャンされたハワイ旅行に「食べられるもの」が多いイタリア旅行…。夫・庵野秀明との結婚生活を振り返る
◆ツアコン化したハワイ旅行 あとは旅行のドタキャンも忘れられない。 義母と叔母を連れてのハワイ旅行に監督と4人で行く予定だった。 義母の世代はハワイへの思い入れや憧れが強く、前から家族で行こうと計画はしていたのだが そんな折義父が入院してしまって結局行けずじまいだったのだ。 三周忌も過ぎたので叔母に付き合ってもらって行く事になった。 「ハワイ!ハワイ!」と、すごく楽しみにしている義母&叔母。 私にしてみると義母と叔母と一緒と言うのはもう完全に嫁仕事なので若干しんどかったが、 それでも嬉しそうなお二人を見ると まあいっか。 いつも義母の世話をかって出てくれる優しい叔母も一緒だし、いざとなれば監督がいる。 義母も監督の言うことは聞くから心配ないか…! と、楽観的な気持ちでいた。 するとどうだろう。 監督が直前になってどうしても仕事の都合がつかず行けないと言い出した。 ええ~!!!! 軽くパニックである。 アニメや映画というのはスケジュール通りというわけにはなかなかいかなくて 自分1人の都合だけで休めないのも仕事の性質上仕方ない。 ただ、キャンセルするにしても全員分となると直前すぎてお金もかかるし 何よりあんなに楽しみにしていた年寄りたちが可哀想。 義母は足腰を悪くしていたのでキャンセルすると次行けるかどうかわからない。 色々と悩んだ末にハラを決めて私1人で義母と叔母を連れて3人で旅立った。 この旅行はマジでやばかった。そもそも個人旅行なので 往復のチケットとホテルしかとってない。 到着すると同時にツアコンと化して朝から晩までコンシェルジュとやりとりしていたのを思い出す。
◆毎日キャンセルと予約を繰り返して 海でのアクティビティや火山を見に行くなどの動きのあるツアーは無理なので フラダンスを見たりファイアーショーなどを手配したのだが ファイアーショーを見終わったあたりで義母のご機嫌が悪い。 幼稚園児のようなしかめっ面で 黙りこくったまま一言も発しないので心配してどうしたのか聞くと 「怖かった」 と言う。 こんな怖いものを見せるとは何事か、ということでお怒りのご様子である。 うるせえ知るか。 すごいめんどくさいので、すぐにネイルサロンの予約を入れ 受付のおねーさんにものすごい可愛い爪にしてくれとオーダーしてやった。 すると2時間後ニッコニコで現れた。ちょろいもんである。 しかし全日このような調子なので、やっととった休みもフルスロットルである。 夜のうちにコンシェルジュと相談して時間を調整して仮予約してもらい 朝食で今日はこんなところに行こうと思うけどどうですか?と聞けば 「いや。疲れそう」「怖い」 などの理由でNGが出る。 いや、サンセットクルーズってそんなアクティブじゃないのよ? パラグライダー乗ったりしないのよ? みたいな説明を小一時間して了承をもらう。 ヒイヒイいいながら毎日キャンセルと予約を繰り返してやっと最後の日になった。 夜はワイキキの古めのホテルの上の階にあるバーラウンジを予約してあった。 宿泊していたホテルのコンシェルジュの一押しだっただけに大変眺めが良く 席も特等席だったために正面に見えるダイヤモンドヘッドが夕陽を浴びて輝いていた。 美しい夕暮れの空に私も目を奪われていたが、ふと横を見ると義母と叔母が涙を流していた。 こんないいところに連れてきてくれてありがとう、と 2人とも泣いている。 夕食の間中繰り返し繰り返し楽しかった、ありがとう、本当にいい思い出になったと 感謝してくれて毎日大変だったけどいっぺんに疲れが吹き飛んだのを覚えている。 私自身もなんだかんだで楽しかったし最後の最後で自分も感動して泣いた。 だが家に帰ってから監督にかなり文句を言ったのも覚えている。嬉しかったのと大変だったのは別の話である。
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