ウクライナ国民が思う「停戦しても意味がない」 現地在住の編集者が「その理由」に言及
日本への信頼度は高く、第二次世界大戦や災害からの復興ノウハウに期待
飯田)復興に関する会議も東京で行われましたが、日本の支援で期待されているのはどんなことでしょうか? 平野)日本に対する信頼度は高く、2年前の日本の姿勢は評価されています。日本は第二次世界大戦後や地震などの災害からの復興経験、ノウハウがあるので、それに対する期待も大きいと思います。もう1つ重要なのは、「日本がきちんとウクライナに本腰を入れて支援してくれる」という信頼感だと思います。2016年、日本はロシアに対し「8項目の経済協力プラン」を提示しました。あれは完全に頓挫して大失敗しましたが、今回のウクライナに対する支援計画は、それに似ているところがあるのです。
2016年にロシアに提示した「8項目の経済協力プラン」と同様の内容を今度はウクライナに
平野)国際協力銀行(JBIC)や日本貿易振興機構(ジェトロ)が出てくるなど、7つの優先項目の他、査証緩和も発表しています。同じ政府がつくった計画なので似るのは当然ですが、今回は侵略国ロシアではなく、侵略される側であるウクライナのために計画をつくった。それが非常にシンボリックだったと思います。 飯田)今回の日・ウクライナ経済復興推進会議では岸田総理が基調講演を行い、そのなかでジェトロの事務所をつくることなども発表されました。それがウクライナで報じられているのですか? 平野)細かくすべて報じられています。何より全面侵略開始後に、日本が大きく方針転換したことが大きいですね。2年経って「可哀想」という状態から、理屈で支援しなければいけなくなった。それにどういう意味があるのかという難しいタイミングです。だからアメリカでは支援が止まっていますし、EUも苦しんだのですが、そのなかで日本が細かく準備した上で支援方針を発表した。そこが評価されているのだと思います。 飯田)感情ではなく理性というか。結局、ウクライナ戦争の帰趨によっては、我々のいる東アジアにも大きく影響が出ます。この辺りが日本国内でも語られるようになった。かつてロシアと蜜月だった時代に比べて、大きく変わりましたね。 平野)2年前に日本の外交政策が変化し、そこから2年経って、いま結晶化したような会議だったと思います。支援額などの数字も大切ですが、それよりも中長期的に方針転換させていく構図を形にして見せたことが重要だと思います。