ウクライナ国民が思う「停戦しても意味がない」 現地在住の編集者が「その理由」に言及
停戦したところで、ロシアは必ず再侵略してくる
ジャーナリスト・佐々木俊尚)西側メディアの報道を見ると、「停戦するしかないのでは」というような空気が広がっているように感じます。もし仮に停戦するとなると、ウクライナが絶対に守らなければいけない条件として、何があるでしょうか? 平野)いまのところ、ウクライナでは停戦の議論がまったく出ていないので、「どういう条件か」という議論もされていません。どんな停戦をしたとしても、ロシアの目的がウクライナ支配である限り、必ずもう1回侵略してくるだろうというのが共通項になっています。それでは「停戦しても意味がない」という話しか出ていません。
トランプ氏を刺激しないよう、静かに米大統領選を見るウクライナ
佐々木)一方で、今年(2024年)のアメリカ大統領選はバイデン対トランプの一騎打ちになりそうです。トランプ氏が当選するという予測が盛り上がっていますが、そうなった場合、ウクライナは窮地に陥るのではないかと思います。その辺りに対する国内の受け止め方はいかがですか? 平野)あまり大きく議論されていません。理由としては、選挙介入だと受け取られることを嫌がっているからです。2016年の米大統領選挙のとき、ウクライナでトランプ氏に不利になるような情報が出てきて、それをトランプ氏が根に持ってしまったことがありました。その反省から、今回はそうならないように静かにしているのだと思います。 佐々木)あまりトランプ氏を刺激すると、本当に大統領になったとき困るということですよね? 平野)そうですね。
中長期的に戦える体制づくりを進めるウクライナ
飯田)ウクライナ東部のアウディーイウカから、ウクライナ軍が撤退したと報道されました。ここへ来て反転攻勢もうまくいかないようですが、今後の展開はどうご覧になっていますか? 平野)ザルジニー総司令官の交代もそうですが、中長期的に戦える体制づくりを進めているのだと思います。弾薬や無人機を長期生産する体制をつくったり、動員法案を新しくする、安保協定を結んで安定を図るなど、いろいろな体制づくりをしているところだと思います。 飯田)ドイツと安保協定を結びましたが、個々の国とも進めていく方針なのでしょうか? 平野)もともとG7の宣言が基本になっているので、日本とも協議を始めており、どういう案が出てくるのか気になっているところです。