2期目のトランプ政権、1期目とは全く異なるものになる理由
(CNN) 5日に投開票された米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利した。トランプ氏の支持者と反対派はいずれも、同氏の2期目について1期目とは全く異なるものになると明言している。 【映像】トランプ氏、支持者に演説 「米国の黄金時代」を宣言 共和党を完全に自分のものとし、反対派を永久に追放したトランプ氏は、大統領職を務めた経験と、自分を失敗させたと思い込んでいる制度への多大な憤りを持って大統領執務室に入るだろう。 トランプ氏は2016年、選挙人の過半数を得て勝利した。今回は一般投票での勝利も見込まれており、国民全体からの信任を主張する機会を得ることになる。 トランプ氏は6日未明、フロリダ州ウェストパームビーチで熱狂する聴衆に向けて「米国はわれわれに前例のない強力な使命を与えてくれた」と語りかけ、2期目について「単純なモットーに基づいて統治する。約束し、約束を守る」と宣言した。 今後の4年間は1期目からは容易に予測できない不透明な任期となる。対立候補のハリス副大統領は有権者にそのリスクを警告しようとした。しかしトランプ氏の支持者にとっては、同氏が「壊れた国」と呼んだものを修復するという約束こそが重要だった。たとえそれが長年維持されてきた原則を放棄することになっても。 首席補佐官や国防長官などかつては安定化を図ることを望んでいた人物たちが、トランプ氏を見捨て、同氏の性格や能力を非難した。 取って代わったのは、トランプ氏を監視することに無関心な補佐官や当局者らだ。今回トランプ氏のために働いている人々は同氏の見解を共有し、過去の側近たちが維持しようとした規範や伝統、法律に配慮することなく、候補者としてトランプ氏が掲げた極端な公約を守ることに熱心だ。 法律家への対処に苦しめられた経験から、トランプ氏は今回、政権に弁護士を配置しようとするとみられる。懸念を挙げるのではなく、たとえ同氏の発想が非常に過激であったとしても、それに法的根拠を見つけることに取り組む弁護団だ。 議会ではかつて穏健派の共和党議員がトランプ氏の突飛な行動を批判することもあったが、現在の共和党内では同氏に対する忠誠心はほぼ一貫している。過去4年間、大統領権限に制限を設ける取り組みはほぼ頓挫しており、反トランプ派の共和党員は引退するか落選した。 トランプ氏の任期以降、連邦裁判所も再編されている。最高裁も現在では保守派が圧倒的多数を占めており、トランプ氏の1期目では高等裁判所が却下したであろう訴訟を支持する可能性がある。また、最高裁が大統領に在職中の公的な行為について免責を認める判断を下したことを受け、大幅に拡大された権限を持つ連邦政府トップの地位を取り戻そうとしている。今回の勝利により、トランプ氏は直面しているほとんどの訴訟を説き伏せることが可能になるとみられる。 おそらく最も重要なことは、トランプ氏自身が変わったことだ、と同氏を知る人々は口をそろえる。1期目の退任から四つ年を重ねた同氏は詳しい健康状態について公表していないが、時折疲れをみせ、不安定になっているように見える。 トランプ氏は重罪で有罪評決を受けているほか、別の事案でも数十件の起訴に直面しており、その将来は不透明だ。 そして、トランプ氏は公開、非公開の場を問わず、報復することで頭がいっぱいになっている。この様子は少なくとも1期目の初期には見られなかった。同氏は怒りを募らせ、それをほとんど隠そうともしていない。 2期目はトランプ氏が提案した極めて過激な措置を阻止する手だての多くは存在しないことになる。そして、トランプ氏の下で働く人々は、より効果的に権力を行使するために政府を後押しすることにますます精通している。 計画に詳しい関係筋2人によると、トランプ氏は就任後ただちに大量の大統領令や政策文書を発行し、規制撤回を行うべく準備を進めているという。 トランプ氏と側近らは新政権の人事について何よりも忠誠を求めていることを明らかにしている。1期目で自身に背を向けた高官らに苦しめられたトランプ氏は、人事決定がおそらく1期目の最大の誤りだったと振り返っている。 さらにトランプ氏はここ数週間で、任命について議会や通常の閣僚承認プロセスを回避しても構わないと明言している。