【衆院選2024】政権交代はある?2009年衆院選から考える「カギを握る」人たち(原口和徳)
都市部で強まる「退出」の影響
また、「選挙から退出した有権者」の影響は都道府県によっても異なります。 与党(自民党+公明党)の小選挙区での議席の獲得状況について、最も変化が大きかったのは、埼玉県12議席増(0議席→12議席)、東京都12議席増(4議席→16議席)です。埼玉県と東京都の減少者数の合計は101.4万人です。2021年衆院選での投票者数は5,746万人ですので、投票者数の2%ほどの人が、小選挙区のおよそ1割に相当する議席を左右するほどの影響力を発揮していたことがわかります。
年代別投票者は60代以下で減少
図表3では、年齢別の推定投票率と各年の確定人口をかけて求めた推定投票者数を比較しています。(出所:第31回~第49回衆議院議員総選挙年齢別投票率調、人口推計-各年10月1日現在人口) ※2009年には選挙権を保有していなかった10代は除外 減少数を比較すると、30代(519万人減)、60代(411万人減)で規模が大きくなっていることがわかります。また、70代や80代では投票者数が増えていることも確認できます。 ただし、今回、着目したいのは、2009年には投票していたものの、2021年には投票しなくなってしまった人たちです。そこで、12年分の加齢を加味した結果も確認してみましょう。なお、年齢別投票率調において1歳刻みの年齢別投票率を確認できる上限は79歳です。そのため、2021年時点で79歳となる2009年に67歳までの人たちを対象として投票状況を確認してみます。
選挙からの退出は2009年に60代であった年代で最も多く生じている
投票者数は、2009年時点で60歳~67歳であった投票者において約300万人減少、50代であった投票者において約190万人減少するなど、年齢が高い層ほど選挙から退出した人が多くなっていることがわかります。 また、今回推計した減少数の合計が約750万人であることを考えると、2009年当時に80%を超える投票率を誇っており、今回集計対象にできなかった68歳~74歳の層でも大きな投票者の減少が生じているものと推察される状況です。
選挙から退出した1,300万人は再び存在感を発揮するか?
空前の選挙イヤーである今年は、イギリスで14年ぶりの政権交代があり、フランスでも議会第一が変わっています。また、アメリカ大統領選挙も激しい選挙戦が展開されています。 経済や外交などの政策課題に加えて、政治とカネなどの政治家自身に関する問題も注目を集めるなか、日本もこれらの国に続いて、政権交代が取りざたされるような状況になるのでしょうか。また、その時に、かつて野党による政権交代を生み出した1,300万人が再び存在感を発揮することがあるのでしょうか。その動向が注目されます。