なぜ水素燃焼エンジンに注目が集まるのか EVに代わる選択肢、ステランティスも参入
欧米系大手、水素エンジンを選択肢に
欧米系の自動車メーカーであるステランティスは、排気ガスを出さないゼロ・エミッション車実現に向けたアプローチの1つとして、水素燃焼エンジンの開発に取り組んでいるという。同社CEOのカルロス・タバレス氏が明らかにした。 【写真】エンジンの振動と音を忘れるな!水素燃焼の未来【水素エンジンを搭載するコンセプトやレーシングカーを写真で見る】 (33枚) アルファ・ロメオ、シトロエン、プジョー、ジープ、オペルなど14の自動車メーカーを傘下に持つステランティスは、EU(欧州連合)の脱炭素化ルールの下でパワートレインを多様化しようとしている。 タバレスCEOは、ステランティスらが出資するシンビオ社の新たな水素燃料電池工場(フランス・リヨン)のオープンに立ち会い、「水素噴射は、わたし達が取り組んでいる4つの技術のうちの1つです」と語った。 また、自動車メーカーを化石燃料から遠ざけ、EVに向かわせようとする政府機関の「荒々しい」なやり方を批判した。 「今、独断的な考え方は現実を前にして傷ついています。手頃な価格でなければ、人々はそれにお金を払えないからです」 ステランティスは、EV充電が難しい消費者に対応するためにパワートレインの選択肢を増やしている。 「本当の競争は、燃料電池、EV、水素内燃機関、さらには合成燃料の間で始まっています。今後数年で、何が市民にとって最良の解決策になるかがわかるでしょう」 水素燃焼エンジンは、BEVやFCEVに比べてサプライチェーンに混乱をきたさないことから、特に商用車メーカーの間ではゼロ・エミッションに向けた最も簡単なソリューションと考えられてきた。 ガソリンエンジンを水素に対応できるように改良する必要があるが、メカニズムの多くはそのまま利用できる。ハードルとなるのは、燃料補給ネットワークの確立と、グリーン水素の大規模製造だ。 タバレスCEOは、どの車両に水素燃焼エンジンを搭載するかは明言しなかったが、ステランティスはすでに中型商用バンのK0シリーズ(オペル・ヴィヴァーロなど)に水素燃料電池を導入している。 ステランティスはまた、2026年後半か2027年前半に、米国でピックアップトラックのラム・ヘビーデューティの水素燃料電池バージョンを導入する予定だという。水素タンクは商用車に搭載しやすく、バッテリーEVに比べて重量が軽いため、積載量を増やすことができる。