Xから「いいね」欄が消えた日──我々は高度なコミュニケーションを行っていたのかもしれない
Xの「いいね」欄が、6月13日に非公開になった。 他のユーザーの投稿に誰が「いいね」を押したのか表示されなくなり、他のユーザーがどの投稿に「いいね」しているのかも分からなくなった。 【写真】イーロン・マスクさん 2023年8月、月額制有料プラン・X Premiumの課金ユーザー向けにオプションとして提供開始され、今回全ユーザーに強制的に適用された「いいね」の非公開化。 X Premiumの課金ユーザーである私は一足早く非公開にしていたのだが、今回の仕様変更を受け、長年Xの「いいね」という機能に対して考えていたことをここに記したい。 私たちは「いいね」欄によって、虚々実々に、自分の趣味嗜好や思想、あるいは政治的立場を、暗に示してきたのではないか、と。 リポストしたくない投稿にも押せる「いいね」 X公式は公式サイトで「いいね」を、投稿に対する「好意的な気持ちを示すため」に使う機能だと説明している。 しかし、一口に「好意的な気持ちを示す」といっても、その意味や意図は千差万別だ。 「共感」「賛成」なのかもしれない。「面白い」「興味深い」なのかもしれない。投稿の内容に関わらず、その投稿ユーザーのことが好きだから「いいね」したのかもしれない。 LINEでいう既読の代わりに使うこともある。Xでは2018年(当時はTwitter)に、他人からはどの投稿を登録したのか見えない「ブックマーク」機能が実装されているが、「いいね」をその代わりとして使っているユーザーもいるだろう。もしかしたら、「好意的な気持ち」ですらないかもしれない。 とかく重要なのは、「いいね」はフォロワーに拡散するリポストと比較して、より気兼ねなく投稿にリアクションできる機能であるということだろう。 つまり、リポストはしたくない──もちろん、それこそ意味や意図は千差万別だろうが──公然とは拡散できないような投稿にも、「いいね」なら付けられる。 たとえば、Xが先日条件付きで投稿を認めたアダルトコンテンツや、表立っては言えない過激な意見や発言などだ。