【MotoGP】タイヤ最低内圧の基準、一部緩和。罰則も失格からタイムペナルティへ変更
MotoGPは2023年から取り締まりを強化したタイヤ内圧に関して、今シーズンはその要件を緩和。さらに違反した際のペナルティも、失格ではなくタイムペナルティへと改められた。 【ギャラリー】空力の攻め方はピカイチ? 2024アプリリアRS-GP 昨年からMotoGPはルールブックのグレーゾーンを埋めるため、そして安全性の面から、タイヤの最低内圧(フロント1.88bar、リヤ1.7bar)の取り締まりを強化し、サマーブレイク後から全マシンに同一の計測装置を導入した。 スプリントでは最低30%、決勝レースでは最低50%以上は、最低内圧を上回った状態で走行する必要があると定めされ、違反者にはペナルティが課せられた。 昨年はシステム導入初年度ということもあり、最初の違反は警告で、その後は違反するごとに重くなっていくタイムペナルティ(3秒、6秒、12秒)を科すとされた。しかし導入2年目となる2024年シーズンからは違反者は失格という厳しい裁定が予定されていた。 このタイヤ内圧の数値に対して、ライダーたちは懸念の声を挙げてきた。2023年の王者フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)は昨年、次のように語り基準の見直しを求めていた。 「このルールのせいで100%の走りができないのは残念だ」 「残念だよ。どう言えばいいのかわからないけど、このルールは……僕らの立場を理解してもらって、フロントの最低内圧を引き下げてもらう必要がある。なぜなら僕たちは本当のレースを目にできていないからだ」 「僕たちが見ているのは、テクニカルなレースだ。もしクルーが間違ったタイヤ内圧を設定したら、僕はプッシュすることができないし、ポテンシャルを発揮することもできない」 「今年はこんな感じだけど、来年は一度でもルールを破れば、レースから除外される」 「そうなると大惨事になる。このルールはレーススタイルを破壊するようなモノだし、なんとかしてもらう必要がある」 そして2024年シーズンの開幕を前に、タイヤサプライヤーのミシュランは数値引き下げに同意。タイヤ最低内圧の要件が変更され、違反した場合のペナルティも緩和されることが決まった。 2024年シーズンは、フロントタイヤの最低内圧が1.8barに引き下げられ、それに伴って決勝レースでは最低内圧を守らなければならない距離が60%へと引き上げられた。(スプリントは30%で変更なし) ペナルティについては、スプリントレースで違反した場合は8秒のタイムペナルティ、そして決勝レースでの違反者には16秒のタイムペナルティが与えられることになった。 なお2023年シーズンは、バレンシアGP決勝でファビオ・ディ・ジャンアントニオ(当時グレシーニ)が2番手でフィニッシュしたものの、内圧違反が判明し3秒のタイム加算を受け、4位に降着するなどの事例が見られた。 今季は失格という非常に厳しいペナルティは撤回されたが、違反した場合には大きく順位を下げることになるのは間違いないため、チームとしては依然として内圧違反に気をつける必要があるだろう。
Lewis Duncan