辞任に追い込まれた首相 迫り来るトランプ・ショックの衝撃を鮮明に物語る
カナダのジャスティン・トルドー首相が1月6日、与党である自由党の党首を辞任すると発表した。次の党首が決まり次第、首相の座を降りることになる。 【画像】2016年G7伊勢志摩サミットで安倍晋三首相と記念撮影するジャスティン・トルドー首相 2015年11月にリベラル派の期待の星として首相に就任して以来、10年近くカナダ首相を務めてきたトルドーは、なぜいま辞任するのか。 英紙「ガーディアン」は、トルドーがこの数ヵ月間、退陣を迫られてきたと解説している。 2024年後半、トルドーの支持率はわずか33%にまで落ち込んでいた。この数字が出た世論調査では景気低迷に対する不満の広がりが示されている。 西側の多くの首脳と同様、トルドーは記録的なインフレと食品価格の高騰に悩まされた。住宅危機も政府に対する反感を強めた。カナダ国内では住宅価格がこの数年で30~40%も跳ね上がった場所もあるという。 自由党内でもトルドー辞任のプレッシャーが強まっていた。2024年10月には、自由党の若手国会議員20名以上が、首相に辞任を呼びかける書簡に署名した。さもなければ、次の総選挙でボロ負けすると迫ったのだ。 だが決定打となったのは、トルドーの忠実な側近だったクリスティア・フリーランド副首相が12月半ばに急に辞任したことだと同紙は書く。フリーランドは首相を公然と批判し、トルドーがドナルド・トランプ米大統領の2期目に対処できるかどうかを疑問視したのだ。 その数日後、カナダ大西洋岸諸州、オンタリオ州、ケベック州の自由党議員たちが、新たな党首を選ぶときだと発表した。
COURRiER Japon