ブローチ活用法とは? ヴァンクリで仕事服を格上げ、幸運モチーフの知的コーデ
連載《ジュエリーレッスン》
「ブローチ」はジュエリーのなかでも少し特別な存在だ。ほかのジュエリーと違い、肌に直接つけないからこそ、自由なアレンジが楽しめる。素材が布帛(ふはく)やニットであれば、服に限らず、帽子、スカーフ、ベルト、バッグなどにつけられ、専用のパーツを使って帯留めやヘアアクセサリーにすることもできる。 【写真はこちら】アルハンブラ、ローズ ド ノエル、パピヨン、ラッキー アニマルズ…夢のようなブローチを全部チェック! ブローチをつける位置は、日本では鎖骨のあたりが好ましいとされてきたが、正しい位置は特にない。欧米では肩やウエスト、あえて背中につける人もいる。たとえば、ハチや蝶(ちょう)などのブローチをドレスの肩にあしらったり、大ぶりのブローチでラップ(巻き)スカートを留めたり……。コーディネート次第で、装いに唯一無二の個性を生み出すことができる。 そんなブローチが充実しているのは、やはりヨーロッパのジュエラーだ。ドレスを飾るジュエリーは宮廷文化のなかで洗練され、宝飾技術も発展を遂げてきた。特にフランスのジュエラーのアトリエには、伝統のサヴォワールフェール(芸術的職人技)が今も大切に守り継がれている。そのなかでもブローチの名品を数多く世に送り出してきたのが、パリに本店を構える「ヴァン クリーフ&アーペル」だ。 ヴァン クリーフ&アーペルではブローチを「クリップ」、または「ジュエリークリップ」と呼ぶ。2本のピンからなるクリップ式の留め金は、服や髪にも留めやすく、多様な使い方が楽しめる点が特徴だ。また、留め金は作品のサイズに合わせて個々につくられているため、着用時に安定し、落としにくいというメリットもある。
■Style1:装いをドラマチックに、仕事服にこそ「ブローチ」を
ヴァン クリーフ&アーペルといえば、花々や蝶、フェアリーをモチーフにした夢のような作品で知られている。そうした詩情豊かなジュエリーと働く女性の装いは、普通に考えたら相性がよいとは思えないだろう。 しかし、ジャケットスタイルなどの堅い仕事服にこそ、むしろ夢のあるデザインを合わせてほしい。相反するテイストのミックスこそが、実は最も簡単な、無難を脱するおしゃれの極意なのだから。 例えば、テーラードジャケットには、シフォンのボウブラウスなど柔らかな素材のインナーを。そして、フラワーモチーフのブローチを大きさ違いでつける。単純に並べるのではなく、1点はブラウスのボウの結び目に。モチーフをちりばめることで装いがドラマチックになるだけでなく、ジャケットを脱いでも寂しい印象にならずに済む。 薄手のブラウスにブローチをつけるのは、不安かもしれない。素材が重さに耐えられないように感じたら、できるだけ布地が重なる箇所を選んでつけることだ。もしくは、裏からあて布をするだけでかなり安定する。 そして、服にピンの穴があくことは避けられない。それをどうしたらよいかと聞かれることがよくある。一番簡単なのは、ツイードやニットジャージーなど織り目の粗い生地を選ぶことだ。ただ、それだけにこだわるのもつまらない。織り目のつんだ生地の場合は、衣服用のブラシで目を整え、スチームをあてるだけでかなり目立たなくなる。 フラワーモチーフのブローチには蝶のイヤリングとリングを合わせて、ストーリー性のあるコーディネートに。輝きに秘められた歴史や物語が、装いを華やかにするだけでなく、気持ちまでも高めてくれる。