〈北九州・河川敷にまたロケットランチャー〉「なんてことしてくれたんだ!」地区自治会長は驚き、市の安心推進課はガックリ。“修羅の国ではない”はずなのに…再注目された市の“自虐パネル”とは
12年ぶりにまたもや…福岡県北九州市小倉南区長行東の紫川河川敷で5月末、ロケットランチャーが複数見つかった。肩に担ぎ、戦車やヘリコプターに向けてロケット弾を発射する、戦争映画やギャング映画でおなじみの兵器だが、いずれも実弾が装填されており、一緒に拳銃や手榴弾もいくつか見つかった。物騒極まりない話だが、かつて「修羅の国」と恐れられた彼の地で、暴力団排除が進んでいる証左と見る向きもある。 <再注目の“自虐パネル”>「北九州では石を投げたらヤクザに当たるって本当ですか?」「一家に一台、ロケットランチャーがあるって、本当ですか?」
「ピストルなどが入った箱がある」と110番通報
5月30日、河川敷を散歩中の70代の男女が「ピストルなどが入った箱がある」と110番通報。福岡県警爆発物処理班が出動し、プラスチック製の箱に入った拳銃のようなもの数丁と手榴弾数個を発見。 さらに周辺からは、長さ1メートル超のロケットランチャーが見つかった。県警は、暴力団が関与した可能性があるとみて捜査を進めている。 北九州でロケットランチャーが見つかったのは、初めてではない。 2012年6月には北九州市戸畑区の住宅街の倉庫で実弾装填済みのロケットランチャーが拳銃や実弾とともに見つかり、指定暴力団・工藤会関係者が爆発物取締罰則違反などの容疑で逮捕され、全国を震撼させた。 これ以前から自動小銃などで重武装化を進めていた工藤会は同年12月、福岡県公安委員会に「特定危険指定暴力団」として指定された。これは市民や企業を危険にさらす暴力団を対象に導入された新制度で、工藤会は全国で唯一、この指定を毎年延長し続けられてきた。 それに伴う取締りや暴排運動も本格化し、野村悟総裁(77)が2014年に殺人容疑などで逮捕、起訴され、2021年に死刑判決を受けるなど、組織は大きく勢力を削がれた。 その暴排運動の一環として2019年、北九州市役所は7枚のパネルを作成。そのうちの1枚が下のイラストだ。 東京都内のとある居酒屋で青年が北九州市出身の「おっちゃん」と隣り合わせになったという設定で、青年が北九州市にまつわるうわさを7つ質問し、おっちゃんが回答する流れになっている。 青年は「北九州市の繁華街では、身ぐるみ剥がされますか?」「北九州では石を投げたらヤクザに当たるって本当ですか?」と直球質問。なかには「一家に一台ロケットランチャーがあるって、本当ですか?」との問いもあり、これが今回の一件で再び話題になった。 あらためて関係者に取材してみた。 「パネルは北九州をちゃんと知ってもらおうと作られたもので、当時は想像以上の反響をいただきました。北九州は全国のみなさんが思っているほど怖い街じゃないことを知ってもらおうというのが作成意図です。 地元の人にとっては『そんなわけなかろう』と一蹴するような質問ですが、市外の人にも正しい知識を伝えるために作られたもので、『修羅の国』ではない北九州市の実情を知ってほしいという思いは、今も変わりはありません」(北九州市総市民局安全・安心推進課)