追加利上げに前向きな声も 日銀6月会合の「主な意見」 国債減額は「市場との対話」重視
日銀は24日、今月13~14日の金融政策決定会合で出た「主な意見」を公表した。外国為替市場での円安進行を踏まえ、追加利上げに関する意見が複数出ていたことが明らかになった。7月末の次回会合では、長期国債の買い入れについて現行の月6兆円程度からどのように減らすかを決めるが、追加利上げに関する議論も注目される。 ■「適時に引き上げを」との声も 6月会合では、追加利上げは見送った。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始が遅れていることから、市場では日米金利差は当面縮小しないとの見方が根強く、円を売って運用面で有利なドルを買う動きが優勢となっている。 歴史的な円安基調について、一部の政策委員は「物価見通しの上振れの可能性を高める要因」と指摘。「遅きに失することなく、適時に金利を引き上げることが必要だ」と利上げに前向きな意見も出た。 一方で、利上げは住宅ローンや企業向け貸出金利に影響する。このため「経済・物価情勢の全体像をみて運営しなければならない」「金融政策運営は為替の短期的な変動には左右されない」「消費者物価が明確に反転上昇する動きなどを確認してからで良い」との主張もあった。 ■追加利上げは最短9月か 6月会合では、国債の買い入れ減額の方針が決まった。植田和男総裁は14日の会合後の記者会見で「減額は相応の規模になる」と強調。投資家の意見を確認した上で、7月会合で今後1~2年程度の具体的な減額計画を決める。 国債発行残高に占める日銀の保有割合は現在、過半を占める。6月会合の段階で減額の幅やタイミングについて具体案が示されるか注目されていたが、金利が急騰するリスクへの懸念から「今回具体案を決めるより、市場参加者の見方を確認するプロセスを踏んだ方が、よりしっかりとした規模の削減ができる」「市場との対話も含め、ある程度の時間をかけて慎重に検討すべきである」といった声が相次いだ。 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「円安牽制への期待につなげるため、日銀は政策を小出しにしている」と分析。FRBが9月に利下げに動く可能性が高まっていることを踏まえ、追加利上げは「最短で9月となる」とみている。
会合には植田総裁と副総裁、審議委員の計9人が政策委員として出席した。(宇野貴文)