本物です!静岡・大井川鐵道「SLトーマス号」乗車レポ
人力で方向転換、顔向く先でシャッター音
やがて列車は終点・千頭へ到着。あっという間の約70分でしたが、ここで終わりではありません。今から千頭駅での一大イベント、転車台による方向転換が待っています。大勢のギャラリーが見守る中、入れ替え作業を終えたトーマス号がゆっくりと転車台へ。そして、汽笛による合図とともに6人がかりでバーを押すと、ゆっくりと回転しはじめました。そう、この転車台は人力で動かすのです。 トーマスの顔が向く先で、シャッターの音が響き渡ります。今日はいつもより多く?2周半ほど回したところで方向転換は完了、トーマスは再び客車に連結されました。 帰りの試乗列車は沿線で撮影することにして、先行する列車で先回りします。お茶畑の中で待つこと数十分、遠くから汽笛の音が聞こえ、ほどなく青い車体が姿を現しました。 実はトーマス号の目は手動で動くのですが、撮影時はちょうどこっちを見ていてくれました。青い空と緑の茶畑、その中を行く水色とオレンジ色の列車、アニメの中の風景がそのまま飛び出してきたようで、見ているだけで楽しい瞬間でした。先ほどとは逆に、乗っている人に向かって大きく手を振りながら見送ると、煙の匂いを残してゆっくりと走り去っていきました。
10月12日までの金曜~月曜運転。「ジェームス号」も
大井川鐵道の「SLトーマス号」は、10月12日までの金曜~月曜日を中心に運転。今年は赤い機関車の「SLジェームス号」も運行されます。 既に事前予約受付は終了していますが、キャンセル分を対象とした追加申し込みが、乗車日の9日前の14:00~翌日13:00の間で受付されるので、まだまだ乗車のチャンスはあります。この夏は「トーマス」とその仲間に会いに、大井川鐵道を訪れてみてはいかがでしょうか? (文・写真/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる)大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。