読売新聞

　九州・山口・沖縄の主な流通企業の2024年8月中間連結決算が、出そろった。物価高の中で消費者の節約志向を取り込む集客戦略が奏功したほか、訪日客の旺盛な需要にも支えられ、集計した全7社が前年同期と比べ増収だった。最終利益は明暗が分かれた。

　ディスカウント店のミスターマックス・ホールディングス（HD、福岡市）は、アプリ会員向けの割引キャンペーンの実施や割安なプライベートブランド品の販売強化で売上高にあたる営業収益が5・6％増の691億円と、中間期で最高だった。

　百貨店の博多大丸（福岡市）は中国や韓国からの観光客に対するブランド品販売が好調で4年連続の増収となり、総合小売業のサンエー（沖縄県宜野湾市）も、免税品売り上げが伸びた。

　最終利益は増収効果で3社が増益となった一方、店舗運営のデジタル化に向けた投資コストの増加などで4社が減益だった。

　イオン九州（福岡市）は値札の電子化費用が膨らんで最終利益が48・4％減の19億円となり、中川伊正社長は9日の記者会見で「デジタル化に積極的に投資した結果だ」と述べた。百貨店の井筒屋（北九州市）は4月に導入した新アプリの開発コストなどが響き、2年連続の減益だった。

　通期の売上高も全社が増収を見込むが、「（消費者の）賃上げが進まずに買い控えが起こると怖い」（リテールパートナーズ幹部）との懸念は根強い。消費者が日常の買い物で「より安い商品を求めて複数店を使い分けている」（イズミの三家本達也副社長）こともあり、品ぞろえや価格面のニーズを踏まえた各社の対応力が問われそうだ。