橋本愛が「心臓を鷲掴みにされたような衝撃」を覚えた1曲とは?
撮り直しのきかない一発本番シーンで極寒入水
──劇中では入水する場面もありましたね。画からも寒さが伝わってきました! 極寒の11月に撮影がありました。湖に入ったときはあまりの冷たさに足がもげるかと思いましたね。カットがかかった瞬間、ダッシュで湖の外に出ました。……というのは自分の気持ちの中だけの話で、本番中は歩けたのにカットがかかった途端に寒さで動けなくなり、スタッフの方に連れ出される形で湖を出ました。あたたかい部屋に連れて行ってもらって、あたたかい肉まんを食べて体を回復させました。でも私以上に大変だったのは、スタッフの皆さんです。撮り直しのきかないまさに一発本番のシーンだったので、午前中から助監督の方が入水して何度もカメラテスト。照明機材が潤沢ではなかったことから、対岸から車のライトを当てるという方法で、苦労しながら効果的なライティングも生み出してくれました。沙苗の精神状態もギリギリの場面だったので、緊張感の熱が渦巻いているような撮影でした。 ──昨年10月に参加された第28回釜山国際映画祭の印象は? 観客に学生さんのような若い方が多くて、すべての上映チケットがソールドアウト。映画に対する熱量をすごく感じました。上映後のQ&Aではたくさんの手が挙がって、どの質問も細かくマニアックで映画を隅々まで観てくれているというのが嬉しかったです。監督の返答も横で聞いていて「なるほどな」と思うことも多く、作品をより深く理解することが出来た貴重な経験でした。舞台挨拶後にレストランで食事をしていたら、たくさんの観客の方々が会いに来てくれてサインを求められました。それも私が出演した映画『告白』(2010年)のパンフレットや、どこで手に入れたの!?というようなグッズだったり、『熱のあとに』のスチールを自分なりにカスタマイズしたようなポストカードもありました。海外の方の反応を直接肌で感じることで勇気をもらえますし、作品への愛とリスペクトに心が温まりました。