メルセデス・ベンツ「SLS AMGの後継車」開発へ レトロデザインのEVスーパーカー導入か
「ビジョン・ワン・イレブン」の市販版か
ドイツのメルセデス・ベンツは、高性能の電動スーパーカーの投入を計画している。レトロなデザインを採用し、2020年代後半に登場する可能性がある。 【写真】超低車高の2人乗りスーパーカー【メルセデス・ベンツ「ビジョン・ワン・イレブン」を写真で見る】 (20枚) 同車は、2013年に発表された9台のみの限定生産モデル「SLS AMGクーペ・エレクトリック・ドライブ」の「ブランドを定義する後継車」と説明されている。デザインは、昨年発表されたコンセプトカー「ビジョン・ワン・イレブン」をベースにしているようだ。 EVの販売が予想よりも伸び悩む中、メルセデス・ベンツはエンジン搭載車の生産を一部継続する動きを見せている。 しかし、高性能ブランドのメルセデスAMGのミハエル・シーベCEOは、新型電動スーパーカーの重要性に注目している。シーベCEOはAUTOCARの取材に対し、ブランドの最終的な方向性に揺らぎはなく、「オール・エレクトリックを目指すのは明らかだ」と語った。 新型スーパーカーの詳細はまだ不明だが、ブランドの頂点に立つ超高性能モデルとなることは間違いなさそうだ。AUTOCARは、合計出力1063psのメルセデスAMGワンを上回る可能性が高いと見ている。メルセデスAMGワンは、F1由来のV6ハイブリッドを採用し、0-100km/h加速2.9秒、0-300km/h加速15.6秒を誇る。 9台限定だったSLS AMGクーペ・エレクトリック・ドライブよりも生産台数は多くなると予想されているが、価格帯としてはAMG GTを大きく上回り、アルファ・ロメオ33などに匹敵する可能性が高い。 コンセプトのヴィジョン・ワン・イレブンは、1970年代に実験的に開発されたC111を引き継ぐレトロなデザインを特徴とする。市販版では、AMGの電動モデル専用に設計されたAMG.EAプラットフォームを採用する見込みだ。 このプラットフォームはモジュラー設計で、全長、全幅、ホイールベースなどが異なる多様なモデルに使用できる。来年公開予定のビジョンAMGの市販版(現行GT 4ドア・クーペの後継)は、このプラットフォームを量産車として初めて採用することになる。 同車と同様に、新型スーパーカーは800Vの高電圧アーキテクチャーと、米国のバッテリー企業Sila社が開発した新しい円筒形セルのリチウムイオン・バッテリーを使用する見込みである。 動力は高回転型の軸流電気モーターから供給される。英国のYasa社が開発したもので、同社は2021年にメルセデス・ベンツに買収された。それ以来、このモーターはYasa社とAMGのエンジニアチームによってさらに進化してきた。 ごく小さなスペースに収めることができる非常にコンパクトな円盤形状で、従来のモーターに比べてサイズと重量は約半分とされている。 Yasa社の軸流モーターは、すでにフェラーリSF90ストラダーレとケーニグセグ・レゲーラのハイブリッドシステムに採用されている。 AMG向けの軸流モーターの生産は、来年からメルセデス・ベンツのベルリン・マリエンフェルデ工場で開始予定だ。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部