40代に愛用者多数のアパレルブランド「アメリ」、立ち上げ秘話とは|Ameri VINTAGE 代表取締役/ディレクター 黒石奈央子さん|STORY
――VMDを経験されて、どうでしたか? VMDをしていた4年間は、すごく楽しくてやりがいもありました。それ以上に、立ち上げから携わって本当に色々と兼任していたので、気づいたら経験値が上がっていたんです。タグやショッパー制作なども、デザインから生産まで全て1人で担当してノウハウを吸収。本社の会議に出席した時には、他のブランドの売り上げまで把握するようにしていました。「このブランドの売り上げ規模はこれくらいなんだ」「なぜあまり売れていないのかな?」と会議の中で常に考えていて。「売れるブランドと売れないブランドの違いってどこにあるんだろう?」など、勝手に分析していました(笑)。 私が担当したブランドでも、一時期すごく売れても、停滞期が必ずあるんです。その時に、いい面も悪い面も含めてアパレルの裏側を間近で見ていたので、「もっとこうしたらいいのに」という改善策を考えたりもしていました。かと言って口出しできる立場でもなく、自分の心の中に留めていましたね。 ――ターニングポイントはいつだったのでしょうか? 新卒で入社した時点で、なんとなく「28歳までに次のステップに進もう」と決めていたんです。28歳って節目のような気がしていて。ただ漠然と違う職種に就きたいと思ってはいたけれど、何がしたいという明確なものはありませんでした。 当時、ハイブランドからVMDのヘッドハンティングの電話が私宛にかかってきたりもして。その時に、「VMDがやりたいわけじゃない」と気づいたんです。ディスプレイよりもノベルティを一から制作している時が一番楽しくて、やっぱりものづくりがしたいと確信しました。とはいえ、専門学校も出ていないし洋服のデザイン経験もないから、デザイナーにはなれないし…..とずっと悶々としていました。 そんな時、友人から「おしゃれなヴィンテージショップをつくりたいから、一緒にやらないか?」と誘われたんです。自分の世界観を自分でつくれるのは楽しそうだなと直感的に思いました。今までは人のブランドで、それに合わせたものをつくっていたけれど、自分の好きな世界観でやりたいことができるのは魅力的だなと。せっかくならノウハウを活かしてオリジナルもつくりたいと思い、NYで買い付けたヴィンテージとオリジナルアイテムを扱うショップとしてAmeri VINTAGEをスタートしました。