ヤマト引っ越し過大請求で調査結果(全文1)不備の見逃しで不正が蔓延
ヤマトHDの山内社長からのあいさつとおわび
山内:ヤマトホールディングス社長の山内でございます。このたびは、ヤマトホームコンビニエンスにおける法人のお客さまの社員向け引っ越しサービスの不適切な請求により、引っ越しサービスはもちろん、ヤマトグループのサービスをご利用いただいている全てのお客さま、関係者の皆さまの信頼を裏切ることとなり、多大なご迷惑、ならびにご心配をお掛けいたしましたことをあらためて心から深くおわび申し上げます。申し訳ございませんでした。それではこちらから着席の上ご説明をさせていただきたいと思います。失礼いたします。 今回の事態を受けまして、ヤマトホールディングスは客観的、中立的、専門的な立場と見解による調査と、原因の究明、再発防止策、これの策定が急務であると判断いたしまして、7月23日に外部の独立した専門家で構成する調査委員会を設置し、河合弁護士に委員長をお願いいたしました。このあと河合委員長より今回の調査結果につきましてご説明をいただきますけれども、その前に私から一言お話をさせていただきたいと思います。 今回の調査の結果、ヤマトホームコンビニエンスにおいて商品設計、教育、法人契約、組織体系、社員の処遇、内部通報制度、内部監査の運用などに重大な不備があったこと、そのために大多数の社員が約款に基づき見積額を修正すべき可能性があることを認識せずに、事前にご了解いただいた見積金額をそのまま請求することが通常の業務オペレーションであると誤認していたこと、経営層からの指示によって見積もりの上乗せを繰り返すといった事実はなかった一方で、一部にこの不備を利用した悪意で上乗せした見積もりがあったこと、さらに外部、内部からの通報があったにもかかわらず、不備の発見と抜本的な改善に至らなかったことが分かりました。 今回の最大の問題は第一線の社員の意見が十分反映されないままに運用が困難な商品設計がなされ、また、商品を適正に運用するための組織的な管理体制が未整備の状態で、つまり商品が適切に運用されているのか、約款に準拠しているのかが検証されないまま全国で発売されていたことだと考えております。この商品設計の不備を見逃したことによって不適切な請求が全社的に蔓延し、社員の倫理観の希薄化を招いてしまいました。これは大変恥ずべき事態であり、調査委員会からは大変厳しいながらも核心を突いたご指摘と提言をいただきました。 私は委員会からの提言を重く受け止めまして、ヤマトホームコンビニエンスが提供する全ての引っ越しサービスの約款順守を再点検するとともに、速やかにコンプライアンス教育を徹底するために、法人のお客さまはもちろん、個人のお客さまに向けた全ての引っ越しサービスも新規受注を休止することとしました。失いました信頼を回復することは簡単ではありませんが、ヤマトホームコンビニエンスの経営陣が中心となりまして、またヤマトホールディングスが強力に支援、関与をすることで1日も早く、少しでも多くのお客さまからの信頼を取り戻せるよう、再発防止の着実な遂行に努めてまいります。 河合委員長からはお手元にお配りいたしました調査報告書、これの要約版と全文版、この2つを用いまして調査結果のご説明をいただき、その後リリースに沿って再発防止策を含む今後の対処、および今回の事態に対する処分について私から説明をさせていただきたいと思っております。それでは河合委員長、よろしくお願いいたします。 司会:ここからは当社から本件に関する調査委員会の委員長をお願いしました河合弁護士にご登壇いただき、調査報告書を元に調査結果についてご説明をいただきます。それでは河合委員長、お願いいたします。 【連載】ヤマト引っ越し過大請求で調査結果(全文2)へ続く