ECB、金利据え置き-インフレ鈍化予想で利下げ見通し強まる
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は7日、4会合連続で政策金利を据え置いた。今年のインフレ率と成長率予想は下方修正した。インフレと成長が軟化する中で6月利下げの観測が強まっている。
中銀預金金利は過去最高の4%に据え置かれた。ブルームバーグの調査に答えたエコノミスト全員の予想通りだった。政策委員会は「十分に長い期間」現水準の金利を維持することが、消費者物価の伸びを目標の2%に戻すことに「大きく貢献する」と重ねて強調した。
ラガルド総裁は政策発表後の記者会見で、インフレ鈍化は明らかだが、現時点では金利引き下げに踏み切る「十分な自信」はないと述べた。
「われわれにはもっと証拠と詳細が必要だ。そのデータが今後数カ月で出てくることは分かっている。4月にはもう少し多くの、6月にはさらに多くのことが分かるだろう」と語った。
ECBの発表を受けてトレーダーは利下げ観測を強め、2024年の利下げ幅を1ポイントと織り込んだ。発表前は約93ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)だった。ユーロは0.2%安の1ユーロ=1.0874ドルで取引され、ドイツ10年債利回りは6bp低下の2.26%となった。
ユーロ圏のインフレ率は目標に近づいているが、当局者らは早過ぎる緩和を警戒し、賃金上昇が抑制されているという証拠を求めている。
ラガルド総裁は「賃金の伸びが緩やかになり始めている兆しがある」と発言、インフレは引き続き鈍化するとの見通しを示した。「加えて、利益が人件費上昇の一部を吸収しているため、インフレへの影響を緩和している」と述べた。
最新の四半期予測では、今年のインフレ率を2.3%と昨年12月時点の2.7%から下方修正。2025年に目標の2%に低下すると予想した。一方、今年の経済成長率の見通しは0.6%と従来予想の0.8%から引き下げた。
ECBは「政策委員会は景気抑制の適切な水準と期間を決定する上で、データに依存したアプローチを継続する」と声明で表明。「基調的インフレの大半の指標は一段と低下したが、域内の物価上昇圧力は依然強い。賃金の力強い伸びも一因だ」と指摘した。