現在策定中 国の原子力政策のポイントは?
核燃料の有効利用
次に総合エネルギー調査会の意見において「継続する」とされた「核燃料サイクル」です。原発の燃料となるウランは多くを輸入に頼っていますが、資源が少ない日本ではこれを効果的に使って行くべきという考え方が根底にあります。 普通の原発(軽水炉と言います)はウランを燃料にしています。核燃料は、燃やすと燃えかすである「使用済み核燃料」が出ます。しかし、「使用済み」と言っても、そのなかから、まだ使えるウランや新しく生成されたプルトニウムを取り出して、もう一度燃料に加工できます。普通の原発で出た使用済み核燃料を再加工してまた使う過程を「軽水炉サイクル」と言います。 「軽水炉サイクル」のなかで、ウランとプルトニウムを混ぜた燃料「MOX燃料」を使うことを特に「プルサーマル利用」と言って、国内原発でもすでに実施実績があります。一方で、MOX燃料やプルトニウムを使った燃料を再加工し、利用していく過程を「プルトニウムサイクル」や「高速増殖炉サイクル」と呼んでいますが、これは実現していません。実用レベルにするためには、技術開発課題が残っているためです。政府はこうした技術開発に以前から取り組んでいますが、なかなか進んでいません。 進んでいない理由の一つが、発電施設としての性能を確認する高速増殖原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)です。「もんじゅ」ではプルトニウムなどを燃料に利用して、さらに燃料を有効利用しようという計画なのですが、原子力規制委員会から改善命令が出されるなど、運転再開の見通しは立っていません。またプルトニウムはウランよりも毒性が強いという不安も根強くあります。 しかし、「プルトニウムサイクル」の問題は、最終処分場の問題にも絡んできます。それが「廃棄物の有害度の低減」です。
廃棄物の有害度の低減
使用済み核燃料を再加工せずに直接処分すると、放射能が天然ウランなみになるには10万年かかると言われています。小泉純一郎元首相の発言や映画「100,000年後の安全」でも注目されました。 使用済み核燃料を再加工せずに直接処分する方式、これを「ワンススルー方式」と言います。この方式だと、放射能が天然ウランなみになるには10万年かかります。しかし、「核燃料サイクル」にかけて再加工すると、ウランやプルトニウムが取り除かれるため有害度が低くなると資源エネルギー庁の資料には書かれています。 この資料によると、軽水炉で再処理した燃料から出る「高レベル放射性廃棄物」は、直接処理した場合に比べて体積は四分の一になり、放射能が天然ウランなみになる期間は8000年まで短くなります。さらに「プルトニウムサイクル」が実用化されると体積は七分の一になり、天然ウランなみになる期間は300年になるとしています。 これが「廃棄物の有害度の低減」です。