体力温存で8強決めた錦織のフェデラー撃破可能性をツアー公式サイトが指摘
テニスのウィンブルドン(全英オープン)の男子シングルス4回戦が8日(日本時間9日)当地で行われ、世界ランキング7位の錦織圭(29、日清食品)が同58位ミハイル・ククシュキン(31、カザフスタン)を6―3、3―6、6―3、6―4で下し、2年連続でベスト8進出を果たした。錦織は準々決勝でウィンブルドンで8度優勝経験があり“芝の王者”とも呼ばれる第2シードのロジャー・フェデラー(37、スイス)と対戦する。海外メディアも、錦織対フェデラーの対戦に注目。男子テニスツアー(ATP)の公式サイトは、ここまでの戦いぶりが“省エネ”で、試合時間が少ないことに目をつけて、温存された体力がフェデラー撃破につながる可能性があることを指摘した。 公式サイトは、錦織のベスト8進出を受けて「錦織を(これまでの大会との)変化が後押ししてフェデラーとの準々決勝へ向けて生き生きしている。彼はウィンブルドン8度の優勝者に対して連勝を狙っている」と報じた。 公式サイトが錦織に可能性があると踏んだのはベスト8にのぼりつめるまでの4試合の戦いぶりにある。 「グランドスラム大会でこれほど楽に勝ち進んだことはめったにない。錦織がグランドスラム大会で落としたセット数が1以下で準々決勝に進んだのはキャリアでわずか4度目だ。錦織とメジャー大会での長時間試合は同義語となっている。彼はグランドスラムで12度、準々決勝に到達しているが、過去8度はしばしば5セットマッチに縛られ、メジャー大会の要所を迎える前にエネルギーを失ってしまっている。だが、今大会ではそういうドラマはない。29歳(の錦織)は4回戦まで1セットを落としたのみで、コートで費やした時間は9時間以内となっている(8時間31分)」と指摘した。 実際、今年の全豪オープンでは、準々決勝に達するまで3度5セットマッチを戦って13時間47分を要した。 「彼に力は残されていなかった。右足のけがでノバク・ジョコビッチ相手に棄権した」 全仏オープンでは5セットマッチを2試合続けるなど13時間22分を戦って体力を消耗した。 「パリでは準々決勝でラファエル・ナダルに5ゲームしか取れなかった」と、2大会共にベストな状況で戦えなかったことを紹介した。 だが、今大会では省エネで勝ち進んでいると同時に「短いラリーでポイントを取ってエネルギーを浪費せず、すべての面で効果的なプレーを見せている」という。 公式サイトによると、今大会ではネットプレーを111度行い、85ポイント(76%)を奪っており、ショットのペースでは、101本のエラーに対して132本のウィナーを奪っている。「今大会では彼はすべての試合でウィナーの数がエラーを上回っている」という。 その上で「ネットにより多く出ていくのは錦織と彼のチームが力を入れている点でもある」と指摘。 元世界2位で錦織のコーチを務めるマイケル・チャン氏の「ネットプレーを含めたコートすべてのプレーで最高の状態になっているかもしれない」というコメントを掲載した。