「かわいそうなところもある」 ハリウッドザコシショウ、後輩・やす子の“聖域化”を憂慮
後輩芸人・やす子については「かわいそうなところもある」と言及
――後輩へのアドバイスが的確だと話題になることも多いが、やす子とのエピソードは。 「初めて松本さんの番組に出演したとき、まだまだ売れ始めだったから、松本さんにネタを振ってやってくださいとお願いしたんです。『50音、何でも自衛隊ネタできます!』って言うから、松本さんが『じゃあ、“ら”!』と言ったら、『ら、ら、ら……すみません、らはないです~』、『り、り……りもないです~』って(笑)。そのときは松本さんがうまく落としてくれましたけど、『もっと自分で落とせるようなネタの方がええんちゃう?』って言ったら、それが『ザコシは怖い』とネット記事になって……。 やす子も急に売れて、右も左も分からないまま聖人キャラというか、“聖域”みたいな扱いになっちゃって、かわいそうなところもある。自己プロデュースと言ったって、2~3年目じゃなかなかできない。ここからどう持っていくかが、芸人としての腕の見せどころだと思います」 ――松本人志の訴訟取り下げも話題を呼んだ。復帰についての思いは。 「そりゃ、早く戻ってきてほしいです。ずっと松本さんと絡みたくてお笑いをやってきましたから。実際のところ何があったのかは分からないし、いろんな声もありますけど、それでも松本さんがいなくて寂しいというのが芸人全員の本音じゃないですか」 ――「実は真面目」「後輩思い」など、近年では自身も一挙手一投足が称賛される立場にいる。 「正直、ヨイショはあんまりうれしくないです。お笑い的にはクサしてくれた方がいい。自分としてはオファーに合ったことをしているだけで、優等生ぶってるつもりはない。だって、R-1の審査でふざけて『0点』とかつけたら大ヒンシュクでしょ。真面目な話をしてくれと求められれば真面目な話をしますよ。私生活を出すなというのも、自分からSNSで出すなということであって、例えばドキュメンタリーを撮りたいとオファーがあれば、それは飾らない素の姿を見せるのが仕事ですから。 自分自身が“聖域”にならないように気を付けていること? やっぱり、毎年単独ライブはやらないといけないと思っている。テレビだけでやっていて、知らないうちに自分が面白くなくなってるのに気づかないままなのが一番怖い。舞台に立たないのはやばいですよ。知らず知らずのうちに笑いの取り方がぼけてくる。せめて年に1回は、劇場でお客さんと同じ目線に立って、生の笑いを体感して、自分の中の笑いの感覚をチューニングしていかないとなと感じています」 □ハリウッドザコシショウ/本名:中澤滋紀(なかざわ・しげき)1974年2月13日、静岡県出身。92年、高校の同級生とともに大阪NSCに11期生として入学。翌93年、お笑いコンビ『G★MENS(ジーメンス)』としてデビュー。2002年からピン芸人として活動を始め、16年の『R-1ぐらんぷり2016』で優勝。21年から4年連続で『R-1グランプリ』審査員を務める。24年には『ytv漫才新人賞決定戦』でも審査員に抜擢。大阪NSC時代の同期に陣内智則、中川家、ケンドーコバヤシ、たむらけんじら。
佐藤佑輔