世界彩る昭和かすみ草に 日本農業賞大賞 海外視野、セールスに力 100年続く産地へ JA会津よつば部会
JA会津よつばかすみ草部会の日本農業賞大賞受賞が発表された29日、関係者は喜びに沸くとともに「昭和かすみ草を世界に広げたい」とさらなる飛躍を期した。新規就農希望者向けの教習制度など手厚い支援態勢を確立し、農業の担い手が減る奥会津地方で後継者確保のモデルケースとなってきた。受賞を追い風とし、国内のみならず海外も視野に入れて需要拡大を目指す。 JA会津よつばかすみ草部会長の立川幸一さん(64)=福島県昭和村=は1997(平成9)年に就農し、四半世紀にわたり昭和かすみ草の振興に尽力してきた。「努力が認められた。素晴らしい賞を頂けて光栄」と満足感をにじませた。冠婚葬祭用に加え、家庭での観賞用などとしてカスミソウの需要は拡大傾向にある。今後は、本格的な海外輸出に向けたセールスにも力を入れていく考えだ。 村内の集出荷施設「雪室」の活用をはじめ、日持ちする品種の開発やハウス内の温度管理の工夫によって、鮮度を保ったまま遠方まで出荷することが可能になった。カスミソウ独特の臭いを抑えるトリートメント処理を全量で実施するなど、幅広い人気を得るための努力を続けている。「徹底した品質管理には自信がある」と胸を張る。
かすみ草部会は直近5年間で12組の新規就農希望者を受け入れ、生産拡大に向けた歩みを順調に進めている。生産者の育成に大きく貢献しているのが、2019年に奥会津4町村などとともに設立した「昭和かすみ草振興協議会」だ。就農希望者に地元生産者が1年がかりで栽培や出荷のノウハウを指導する「かすみの教習所」事業を展開している。立川さんは「成功モデルを惜しまずに伝える」と方針を口にする。 2022(令和4)年春に福島市から昭和村に移住し、立川さんの手ほどきを受けた菊地進二さん(40)、結さん(39)夫妻は「ゼロからスタートする自分たちに体調管理や生活面まで気を遣ってくれた。村の補助制度や住まいの紹介なども含め、受け入れ態勢は素晴らしかった」と感謝している。先輩からの恩に報いるためにも、「昭和かすみ草ブランドにふさわしい花を育てたい」と力を込める。 立川さんは菊地さん夫妻と喜びを分かち合い、「100年以上続く産地を目指し、子や孫の代までつないでいく」と展望を描いた。