和歌山県、宿泊補助を見送り 万博招待事業、利用希望校なく
来年4月開幕の大阪・関西万博に和歌山県内の小中学生を日帰りで招待する県の事業で、会場から遠い紀南の学校を念頭に、県が宿泊の補助を検討していたが、利用したいと回答した学校はなかったため、補助制度を見送ったことが分かった。岸本周平知事が11日の定例記者会見で明らかにした。 【関西パビリオン完成 大阪万博、出展府県の知事ら内覧の記事はこちら】 県は県内小中学校と特別支援学校小中学部を対象に、万博への日帰り旅行の補助を企画。チケット代全額と、1人当たり3千円を超える分のバス代を補助する。 県が約370校に参加の意向調査をしたところ、これまでに半数近くの163校が参加する意向を示した。一方、田辺市は小学校1校、中学校5校、白浜町は中学校3校、新宮市は中学校1校で、田辺市以南では109校中、1割未満の10校にとどまっている。 不参加の理由として、学校側から、会場から遠く日帰りが難しいなどと声があったため、県は宿泊の補助を検討。10月上旬~中旬に県内の対象全校にアンケートした。しかし、回答があった御坊市以南74校全てが制度利用を「希望しない」と回答した。「すでに来年度は予定が入っている」「宿泊を伴うと学校側に負担がある」などの理由が多かった。県は修学旅行に合わせての招待も検討していたが、これについても利用したい学校がなかったという。 こういったことから、県は新たな補助制度は設けず、パビリオンの具体的な内容や、参加する学校の状況を伝えるなどした上で、引き続き参加希望があれば受けたいとしている。 ■2社から2万人分寄付へ 小中学生のチケット 県は日本製鉄(本社・東京都)の関西製鉄所と、東京海上日動火災保険(同)から小中学生用のチケット(1枚千円)を1万枚ずつ、計2万枚の寄付を受けると発表した。岸本知事が14日、2社に感謝状を贈呈する。 さらに別の企業から2千枚の寄付の申し出があるといい、現時点で招待事業に参加予定となっている児童生徒約2万5千人分のほとんどが寄付で賄えることになった。 他にも企業や個人から、寄付やふるさと納税の形で約470万円が寄せられているという。 岸本知事は「寄付を頂ければ、その分だけ県の財政が助かる。予算措置をしていた分は、他の万博関連に回すことができるのでありがたい」と話した。
紀伊民報