シャープ、亀山第2工場に設備投資 高付加価値の中小型液晶を増産へ
シャープは4日、2015年度第3四半期の連結決算を発表した。売上高は、前年同期比7.1%減の1兆9430億2700万円。純損失は1083億2800万円となり、同年度上半期累計の純損失836億1000万円から赤字がさらに拡大した。不振が続く液晶事業については、亀山第2工場に設備投資を行い、高付加価値な中小型液晶パネル分野への製品シフトを加速する方針を明らかにした。
売上高の足を引っ張ったのは、液晶パネルのディスプレイデバイス、テレビや携帯電話などのコンシューマーエレクトロニクス、太陽電池などのエネルギーソリューションの3分野で、いずれも前年同期比で2桁減となった。このうち、ディスプレイデバイス部門は、テレビ用大型液晶や、中国向けのスマートフォン用中小型液晶の販売が減少、売上高は同11.7%減の6174億円となった。 これに対し、携帯電話などに搭載されるカメラモジュールの販売が好調だった電子デバイス、海外でカラー複合機の販売が伸びたビジネスソリューションの両分野の売上高はいずれも前年を上回ったが、先の3分野の不振を補うまでには至らなかった。 液晶事業は、需給バランスが悪化し、販売価格が下落しているテレビ用・スマートフォン用の両分野から、ノートパソコンやタブレットPCなどを中心とする高付加価値分野に製品ラインナップをシフトする方針を示している。 亀山第2工場の設備投資はその一環で、高精細・狭額縁・低消費電力といった付加価値の高い中小型液晶パネルの生産能力の拡大と、性能を向上するための設備一式に約112億円を投じる計画。設備の稼働開始は2017年1月を予定しており、2年での投資回収を目指すとしている。 この設備投資に加えて、高橋社長は、「固定費の削減やコストダウンの推進を図り、(ディスプレイデバイス部門の)安定的な黒字化に向けた構造改革に取り組む」と述べた。 (取材・文 具志堅浩二)