【SMA50th】Base Ball Bear『SHIBUYA NONFICTION』オフィシャルライブレポート
■「“Base Ball Bear、ここからいいミドルエイジになっていくんだな”っていうライブに今日はしていきたい」(小出祐介) 【画像】会場は熱気に包まれた 9月20日、LINE CUBE SHIBUYAで、Base Ball Bearのライブ『SHIBUYA NONFICTION』supported by SMA50th Anniversaryが行われた。 日比谷野外大音楽堂で2009年から2023年まで、通算10回にわたって続けてきた『日比谷ノンフィクション』に続く、あらたなシリーズライブの一回目である。 このライブを行うことを発表したのは、6月2日 Zepp Shinjukuの『天使だったじゃないかTOUR』ファイナル公演のアンコールだったが、オーディエンスは『SHIBUYA NONFICTION』というタイトルに、歓喜の声を上げていた。そして当日、当然のように客席は即日ソールドアウト。Base Ball Bearがこの会場でワンマンを行うのは、渋谷C.C.Lemonホールという名前だった頃の2008年以来、16年ぶりである。 『日比谷ノンフィクション』は、ゲストバンドやゲストボーカル、サポートミュージシャンなどが加わって開催される年もあれば、メンバーだけのシンプルな形で行われる年もあったが、この一回目の『SHIBUYA NONFICTION』は、メンバー3人のみで演奏。 ただし、開演前と終演後の影アナは、橋本絵莉子が務めた。終演後のほうは、小出祐介が「また絶対一緒にやりましょう」と言うなど、メンバーとアドリブで掛け合いしながらの影アナだったので、現場で生でアナウンスをしたようである。客前に姿は現さなかった。 なお、この日のライブの模様は、U-NEXTで生配信された。 この日Base Ball Bearが演奏したのは、本編15曲、アンコール2曲の全17曲。リリースツアーを終えたばかりの最新ミニアルバム『天使だったじゃないか』収録曲の「夕日、刺さる部屋」で始まり、同じく『天使だったじゃないか』収録曲の「Power(Pop) of Love」でアンコールが終わる。 その間に、「つよがり少女」(2003年)や「17才」(2007年)や「祭りのあと」(2006年)などの初期の曲、「いまは僕の目を見て」や「セプテンバー・ステップス」(どちらも2020年)、「Endless Etude」(2023年)といった近年の曲などが、並ぶセットリスト。 「私が(メンバーの中で)ひと足先に今年40になるんですけど。ちょっとずつバンド自体がミドルエイジになってきたわけじゃないですか。フレッシュさは失いたくない、でも、これから渋みも皆さんに見せられるようにしていかなきゃいけない。そういうタイミングに来たのかな、ということで、『SHIBUYA NONFICTION』というシリーズを立ち上げまして。今後、ここから育てていきたいと思いますので。今日の皆さんの盛り上がりに、すべてがかかっています」と、小出祐介、最初の2曲を終えたところで、責任をオーディエンスにぶん投げるMC。 笑って拍手を送るオーディエンスに、小出は「“Base Ball Bear、ここからいいミドルエイジになっていくんだな”っていうライブに今日はしていきたいと思ってますので。最後まで楽しんでください」と、言葉を足した。 小出と関根史織のツインボーカルを聴かせる「SCHOOL GIRL FANTASY」や、超初期(インディリリース)の「つよがり少女」など、ライブの前半は、ギアをトップに入れたまま駆け抜ける。 そして、「秋っぽくない」「今日35~36度なのは計算外だった」「次の曲を聴いてもらえば、“こいつら、今日の最高気温27~28度想定でセットリストを決めたな”とわかると思う」――という話から「セプテンバー・ステップス」で始まる次のブロックに入ればいいものを、ライブの本筋にもバンドの姿勢にも関係ないトークを続ける3人。この時間もファンにとって、Base Ball Bearのワンマンの大きな楽しみになっている。 その長いMCを、小出「じゃあ、いつものをやろう。ベースボールベアー、ファイッ!」、堀之内大介「やってねえよ!」というボケ&ツッコミで締めて爆笑をとってから、中盤のブロックへ。ファンキーな「セプテンバー・ステップス」とダビーな「FICTION ONCE MORE」の、小出いわく「やるたびに毎回演奏が違う」2曲と、「東京」「17才」の初期の代表曲2曲で、オーディエンスを魅了していく。 この4曲を終えたところで小出は、「ホール、楽しい…」と、唸るように言った。 三度目の長尺MCを経ての、本編ラストのブロックは、「changes」「Endless Etude」「十字架 You and I」「祭りのあと」「Stairway Generation」と、四つ打ちのダンスチューンの5連打で、オーディエンスをピークへ導く。 「十字架 You and I」のイントロで、小出が「渋谷ー!」と叫ぶと、怒号のような歓声が返ってくる。堀之内大介は「祭りのあと」「Stairway Generation」の両方、最後はドラムスツールの上に立ち、ジャンプして曲を締めた。 あと3ヵ月足らずで40才になる小出が、19才の自分が自問自答する「Stairway Generation」で本編を締めたのも、『SHIBUYA NONFICTION』の一回目だから、なのかもしれない。 アンコールを求めるハンドクラップに応えて再登場した小出、「ホール、楽しいなあ」と、もう一度つぶやく。そして、本編後半で3人それぞれ演奏しながら「ゾーンに入っていた」ことを、指摘し合う。小出は「関根さんがピックをくわえてる顔を見て、それがわかった」とのこと。 本気で『SHIBUYA NONFICTION』をシリーズ化したい、いろんなバリエーションのホールでのライブの見せ方を考えて、第二回、第三回とやっていきたい――という小出の言葉を、大きな拍手が包む。 アンコールは「Tabibito In The Dark」と「Power(Pop)of Love」。ダンスミュージックの(あるいは音楽の)力と、愛の力を歌った2曲を並べて、Base Ball Bearは一回目の『SHIBUYA NONFICTION』を締めた。 TEXT BY 兵庫慎司 PHOTO BY AZUSA TAKADA <セットリスト> 01.夕日、刺さる部屋 02. いまは僕の目を見て MC 03.short hair 04.SCHOOL GIRL FANTASY 05.つよがり少女 06.DIARY KEY MC 07.セプテンバー・ステップス 08. FICTION ONCE MORE 09.東京 10.17才 MC 11.changes 12.Endless Etude 13.十字架You and I 14.祭りのあと 15.Stairway Generation アンコール 16.Tabibito In The Dark 17.Power (Pop) of Love
THE FIRST TIMES編集部