【MotoE第4戦イタリア大会】スケジュールは変則的に。レース間2時間で充電は間に合ったのか?
フル充電にかかる時間が、大幅に短縮された
電動バイクレース『FIM Enel MotoE World Championship』(以下、MotoE)第4戦イタリア大会は、イレギュラーなスケジュールになりました。毎大会、MotoEは土曜日に2レースが行なわれます。今回のイタリア大会も同じで、まず12時15分にレース1がスタートしました。 【画像】MotoE第4戦イタリア大会の模様を画像で見る(7枚)
しかし、2周目の最終コーナーでルーカス・トロヴィッチ選手が転倒を喫し、赤旗が提示されます。これによってライダーたちはピットレーンに戻りました。そして、レース再開を待つ間、ピットレーン上で、ポータブル充電器からマシンへの充電が行なわれました。 トロヴィッチ選手の救護活動とその後のタイムスケジュールから、レース1はフルレースディスタンスの7周で、レース2後の18時40分スタートで行なわれる、と発表されます。 以降のタイムスケジュールについてまとめると、以下の状況です。 ・16時10分 レース2スタート(7周) ・18時40分 レース1スタート(7周) 2019年から始まったMotoEには、これまでにも赤旗による中断はありました。2020年フランス大会レース1では、やはりライダーの転倒によって赤旗中断になっています。ただ、このときは1周目の転倒であり、確認できる限り、レース再開を待つ間にマシンへの充電は行なわれていませんでした。赤旗中断中のピットレーン上での充電は、今回が初めてのケースです。 ここで気になるのは、バッテリー充電についてです。「ピットレーン上で充電し、もしレースが再開された場合、バッテリー残量はどのように管理されるのか?」、そして「レース2終了後、レース1までの2時間以下の時間で、フル充電はできたのか?」ということです。 夕方のレース1を終えたあと、MotoEエグゼクティブ・ディレクターのニコラ・グベールさんに「ピットレーン上での充電」について質問しました。 「ポータブル充電器はエネルギー量が少ないので、充電できても1周だけなのです。今回のように、数周分をこのポータブル充電器だけで充電することになると、フルレース分の充電はできません。また、ポータブル充電器では、急速充電もできません。ピットの後ろにある充電器は17kWから20kWで、急速充電ができますが、ポータブル充電器は8kWから10kWで、速さは半分なのです」 ポータブル充電器はグリッド上で、サイティングラップを走った1周分の充電を行なうのが主な目的です(このポータブル充電器からタイヤウオーマーにも給電されています)。 「つまり、今はふたつの課題があります。時間(マシンへの充電時間)と、エネルギー(ポータブル充電器ではエネルギー量が十分ではない)です」 赤旗中断時点のバッテリー残量でレースを再開する、という可能性についても考えられますが、それは周回数によるでしょう。MotoEの全周回数は7~8周と短いのです。レース中盤に中断され、再開されたレースが例えば4周だったとしたら、あまりにもレースとしての魅力に欠けます。 これに近い理由で、2024年はイギリスがMotoEのカレンダーから外れているのです。シルバーストンはコース全長が長いため、雨などで周回数が減算された場合、5周のレースになるからです。よって、レースの途中で中断が発生した場合、バッテリー充電をどうするのかは、今後の課題となるでしょう。 ちなみに、グベールさんはセッション間の通常の充電について、来年はさらに充電時間が短縮されると明かしました。「来年は別のバッテリーで、もっと速く、30分くらいで充電できるようになりますよ。開発中です」ということです。