スペイン洪水でオレンジに打撃 世界的不作&高騰に追い打ち 専門家は果汁不足を危惧
スペイン東部の洪水による被害が拡大しています。国産のオレンジへの被害は甚大で、世界的な供給不足に拍車を掛けると懸念されています。 【画像】洪水で農作物にも被害…水につかったオレンジの木
■スペインで洪水 今の状況は
茶色に染まった濁流が容赦なく街に襲いかかります。 積み重なった車が、道をふさいでしまいました。 先月29日にスペインを襲った洪水。200人以上が死亡し、今も行方不明者の捜索が続いています。 被害への対応などを巡り、国王が非難の的になるなど国民の怒りが高まっています。 発生から1週間、今はどんな状況なのでしょうか。 バレンシア留学中 佐藤風太さん(20) 「今僕自身だと交通手段がメトロ(地下鉄)かバスしかないが、メトロが動いていないので中心地のほうには行けない」 こう話すのはバレンシアにフットサル留学中の大学2年生・佐藤風太さんです。 洪水の被害は少なかったといいますが、いまだに学校にもフットサルの練習にも参加できていません。 佐藤さん 「(学校は)来週の月曜日からオンラインで再開します。(練習場の)体育館が物資集める1つの拠点になっている。しばらくは使えない状況で、きのうの時点で送られてきた写真では物が置いてあって(使用は)まだ難しい」
■バレンシア産オレンジへの被害甚大
洪水は農作物にも大きな影響を及ぼしています。 現地メディア(保険機関Agroseguro)によると、農作物の被害は、およそ2万ヘクタール。被害総額は1億5900万ユーロ、日本円にしておよそ263億円にも上るといいます。 甚大な被害を受けたのは、農作物の6割を占めるオレンジです。 なかでも特産地のバレンシア地方では、ほとんどのオレンジの木が水につかり、何らかの被害を受けているといいます。 chocolatier KAITO 三浦海斗代表 「バレンシア産のオレンジをフランスで加工したもの。こういった感じで箱に入った状態で届く」 都内にあるチョコレート専門店では、およそ5年前からバレンシア産のオレンジをふんだんに使ったオランジェットを販売しています。 三浦代表 「一番にはジューシーさが、あとはオレンジっぽさ。オレンジの持っている甘さであったり酸味、チョコレートをかけた時のチョコレートとの相性もバレンシア産のオレンジはいい」 そもそもオレンジは、日本が最も輸入しているブラジル産が去年から天候不順などのため、取引価格が高騰しています。 三浦代表 「今年の11月に初めて(オランジェットの)価格を改定。もともと2860円だったが、仕入れ値が1割上がっているので2970円」 それに追い打ちをかけるようにして起きたスペインの大洪水。看板メニューへの不安が募ります。 三浦代表 「正直なんとも言えない。2~3年でかなり材料や人件費、すべて上がっている。価格をどうしても上げざるを得ないというのが現状」