農林中金、今期純損失が従来予想を上回る公算、外債処理で2兆円に拡大も
(ブルームバーグ): 農林中央金庫の奥和登理事長は今期(2025年3月期)純損失が従来予想の1兆5000億円程度を上回り、最大2兆円規模に拡大する可能性があるとの見通しを示した。収益性の低い外国債券の売却を加速し、将来の収益拡大を目指すためとしている。
19日に発表した24年4ー9月期の連結純損益は8939億円の赤字(前年同期は1444億円の黒字)だった。外債売却などの結果、9月末のその他有価証券評価損(単体)は7973億円と6月末の1兆8555億円の半分以下となった。債券評価損は約1兆5000億円と6月末の約2兆3000億円から8000億円減少した。
農林中金は5月、世界的な金利高により外貨調達コストが増加した外債の売却に伴う損失計上で、今期の純損益が赤字に転落すると発表。6月には純損失が5月時点の見込みから3倍の約1兆5000億円程度に膨らむとの見方を示していたが、さらに拡大する見通しとなった。
奥理事長は決算会見で、来期(26年3月期)の「黒字化が見渡せるまで収支改善できた」と説明。その上で、27年3月期以降の収益拡大に向け「金利上昇などにも備えていきたい」とし、今期の純損失見通しの「1兆5000億円は上回ってでも財務改善をしたい」と述べた。
同氏はその結果として、利益剰余金の範囲内で損失が膨らむ可能性もあるとした。同金庫の9月末の「利益剰余金等」は約1兆2600億円。上期の損失を加えると通期で最大2兆円近い損失計上が可能となる計算になる。
運用資産ポートフォリオの改善を進めたことから、9月末時点の市場運用資産残高は46兆9000億円と6月末時点の54兆1000億円から7兆2000億円と大幅に減少した。
9月末の運用資産残高の内訳は、債券が57%でこのうち40%が外債だった。クレジット他は39%で大半が海外資産だ。株式は3%だった。保有するローン担保証券(CLO)の残高は6兆5000億円と6月末の7兆3000億円から減少した。