両リーグ共に1位と2位が「12勝12敗1分け」で大激戦必至!! プロ野球セ・パCS展望2024 下克上はあるのか!?
■盤石ソフトバンクvs伊藤大海 今季のパを振り返れば、改めてソフトバンクの圧倒的な強さが際立つ。 「9月の日本ハムが好調で独走の印象が薄れましたが、それでも10ゲーム差以上ありました。しかも終盤は柳田悠岐に加えて近藤健介も離脱する『飛車角抜き』にもかかわらず、です。 打線の傑出度でいえば、100打点が4人いた2003年の『ダイハード打線』以上。得失点差200点超えという異常値を叩き出すほどの強さでした」 その要因として、お股ニキ氏は山川穂高の補強やリバン・モイネロの先発転向が当たったことに加え、小久保裕紀監督の「まっとうな野球」を挙げる。 「規律を重視する小久保監督の下で球団がしっかりまとまりました。野手に対しては、球種の絞り方、長打の狙いどころ、守備でのスローイングなど、やるべきことを徹底。柳田不在でも動じず、柳町 達、正木智也、廣瀨隆太の慶応トリオを抜擢しました」 そして、盤石の投手陣を支えたのは、今季復帰した倉野信次投手コーチだ。 「モイネロだけでなく、大津亮介の先発転向も当たり、スチュワート・ジュニアの飛躍も実現。救援陣の運用にも気を配って若手投手を次々に抜擢し、原則3連投なしでシーズンを完走しました」 そんな強者相手に下克上を狙うのが日本ハム。上述したとおり、対戦成績は互角で、今季最後の直接対決で敗れるまで7連勝。そのうち3勝を挙げたのが伊藤大海だ。 「日本ハムとしては伊藤をどう使うか。あえてファーストステージを回避してファイナルステージに照準を合わせる勝負手を打つ可能性もあります。 ただ、これほど覚醒し、リーグを代表する投手となってしまうと、正攻法でまずはファーストステージ初戦でロッテの佐々木朗希と投げ合い、ファイナルステージの5戦目以降にもう一度ぶつけることになりそう。終盤の状態なら北山亘基らも好投する可能性は大いにあります」 対する王者ソフトバンクとしてはどう迎え撃つのか? 「最大の鍵は、柳田と近藤の復帰が間に合うかどうか。そして、ファームの本拠地でもある筑後の最新設備を使って、伊藤の投球を研究、シミュレーションし、ソフトバンク打線が攻略の糸口をつかめるかどうか」 投手陣は、有原航平、モイネロの二枚看板に託すことになりそうだ。 「今季、エース有原が日本ハム戦で防御率4点台なのは不安材料です。本来なら1戦目が有原、2戦目がモイネロですが、どうなるか。あとは、今季、日本ハム戦で好投したスチュワート、故障した大関友久に代わって4番手候補の大津、石川柊太にも注目です」 下克上を期待するファンがいる一方で、「4年ぶりの巨人対ソフトバンクの頂上決戦を!」「菅野・戸郷vs有原・モイネロの投げ合いが見たい!」というファンも多いはず。頂点を目指した熱戦で盛り上がる日々を願うばかりだ。 文/オグマナオト 写真/時事通信社