野村克也が語る“昔あって今はなくなったもの”「外野審判廃止で起きた“疑惑のホームラン”」
当連載の筆者である野村克也さんが2月11日にご逝去されました。ご生前の功績を偲びますとともに、編集部員一同、謹んで哀悼の意を表します。当連載に関しましてはご生前、野村さんが書き溜めていた原稿が残されておりますので、3月16日号まで続けさせていただきます。(週刊ベースボール編集部) 楽天・三木肇監督が、久米島キャンプで夜間練習を敢行しているそうだ。参加するのは若手野手で、午後8時から約30分、ホテルの宴会ホールでバットを振る。私が楽天監督をしていた2006~09年以来のことらしい。三木は就任会見でも、私の「野球は頭のスポーツ」という言葉を使い、私の教えが監督業のベースになると公言したという。うれしいことだ。しかし、最近はキャンプの夜間練習もしなくなっていたのだな。 そんな話から、「われわれのころにあって、今はなくなったもの」に話題が移った。そこで、出てきたものを紹介しよう。 まず思いついたのは、ダブルヘッダー。ドーム球場の登場が最も大きな要因だろうか。加えて陸・空ともに移動が早く、楽になり、週なかの移動日が必要なくなったためもあるだろう。 われわれのころは火水木3連戦のあと金曜が移動日、土曜ナイターで日曜ダブルヘッダー、月曜が休みというスケジュール。ナイター明けのダブルヘッダーは朝が早く、いつも睡眠不足だった。巨人は当時もダブルヘッダーがなかったから、なんせうらやましかった。 ダブルヘッダーでも、野手はまったく同じメンバーが先発出場した。メジャー・リーグ(MLB)では、重労働のキャッチャーに関してはダブルヘッダーの1試合ずつ、2人使うと聞いた。私はいつも2試合出ていたので、アメリカ人選手によく「ノムラ、休ミナイ、ホワーイ?」と聞かれた。『MLB史上最高のキャッチャー』と謳われるジョニー・ベンチでさえ、ダブルヘッダーの1試合は休んだそうだ。 確かに1日2試合マスクをかぶると、キャッチャーは疲れる。頭も体も疲れるが、特に疲れるのは・・・
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週刊ベースボール