脳裏に焼き付く強烈な末脚!アドマイヤグルーヴが取り戻した「良血の輝き」/2004年・マーメイドS
【記者が振り返る懐かしのベストレース】荒れる牝馬重賞として名をはせている1番人気受難のレースにあって、単勝1.5倍の圧倒的人気に応えて3馬身差圧勝を決めたのが04年のアドマイヤグルーヴである。ご存じ母エアグルーヴ、祖母ダイナカールの超良血馬。母も97年に単勝190円で同レースを勝っており、見事な母娘制覇達成となった。 【表】実力馬がズラリ!04年マーメイドS結果 アドマイヤグルーヴは恵まれた血統背景から前評判通りの活躍を見せ、新馬→エリカ賞→若葉Sとアッという間に3連勝。当然、桜花賞では1番人気に支持された。だが生来のエンジンのかかりの遅さからスティルインラブに完敗の3着。その後もオークス(7着)、秋華賞(2着)と後塵を拝し続けたが、遅まきながら牝馬3冠後にようやく本格化。古馬混合のエリザベス女王杯で3冠馬スティルインラブにリベンジ、初のGIタイトルを奪取した。その後は牡馬相手に苦戦が続いたが改めて輝きを取り戻したのが、このマーメイドSである。 レースは前後半5ハロン61秒0→59秒0の後傾ラップの中、断トツの上がりで3馬身突き抜けた。レース上がり34秒9に対し、34秒台はアドマイヤグルーヴの34秒3だけ。上がりナンバー2の35秒2と比較しても、いかにすごい“切れ方”だったかが分かる。 しかも相手は後の天皇賞秋の勝ち馬ヘヴンリーロマンスを筆頭に、チアズメッセージ(京都牝馬S勝ち)、チャペルコンサート(オークス2着)などそうそうたるメンバー。それらより2キロ重い57キロを背負っての3馬身差圧勝(当時は別定戦)である。 その圧巻のレースぶりが、同年の天皇賞秋3着→エリザベス女王杯連覇へとつながった。まさに秋へのさらなる飛躍を決定づけたレースだけに、その豪快な差し切りのシーンは今でも脳裏に鮮烈に刻まれている。(2012年6月13日付東京スポーツ掲載)
東スポ競馬編集部