救急体制確保へ国が支援 宇部・小野田医療圏域が厚労省のモデル推進区域に【宇部】
宇部市は、山陽小野田市、美祢市との3市で構成する宇部・小野田保健医療圏が厚生労働省の地域医療構想のモデル推進区域に選ばれたことを受け、圏域内で課題となっている2次救急医療体制の確保に向けて国の伴走支援を受けながら、新たな救急搬送ルールの策定などに取り組む。市議会9月定例会一般質問初日の5日、射場博義議員(チーム創生)の質問に篠﨑圭二市長が答えた。 同圏域内の2次救急医療は、コロナ禍後に救急搬送件数が大きく増加する一方で、勤務医の高齢化と若手研修医の確保困難による夜間対応医師の不足などにより、救急医療の輪番体制維持が困難な状況が生まれている。県内最多の8カ所の輪番病院があるにもかかわらず、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」という四つの医療機能が偏在化しており、救急医療体制の維持には踏み込んだ対策が急務だった。 モデル推進区域には、医療提供体制上の課題、重点的な支援の必要性、地域医療構想の実現に向けた取り組み状況などを踏まえ、全国12府県の14区域が選ばれた。これにより、国からデータ分析などの技術的、財政的支援が受けられるようになる。 市では、伴走支援を生かし、昨年度に実施した救急医療の現状分析と明らかになった課題を掘り下げ、圏域内の各医療機関の救急医療における機能と役割を整理。救急搬送の受け入れ集約と搬送基準を見直すなどして新たな搬送ルールの構築に取り組む。限られた人的資源の再配分として、医師の業務を看護師や他の医療専門職に委ねるなどの業務移管の実現可能性も研究するという。 篠﨑市長は「国の支援を生かし、医療機関の特性に応じた機能分化を進め、限られた人材による適切な運用を行うことで、迅速な救急医療の提供につながると考える。市では今後10年間、後期高齢者の人口増加による救急医療の需要増加が見込まれることから、持続可能な救急医療体制を構築していきたい」と述べた。