英中銀、総選挙後に利下げか-CPI2%に鈍化もサービス価格を警戒
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)は20日、金融政策委員会(MPC)の政策決定を公表する。スナク英首相が下院の解散と総選挙に踏み切ったことを受け、今回のMPCでの利下げはほぼ不可能となっており、英中銀は決定を感謝したかもしれない。
19日発表の5月の英消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2%と、約3年ぶりに英中銀の物価目標まで低下した。しかし、サービス部門の価格は目標の約3倍の上昇ペースが続き、物価圧力の方向性を判断するには、あと数週間待つべきだという意見を裏付ける格好となった。
英中銀はロンドン時間20日正午(日本時間同午後8時)に政策決定を公表する。ベイリー総裁らMPCのメンバーが政策金利を16年ぶり高水準の5.25%で据え置くと投資家やアナリストは予想している。
英インフレ率が2%に、3年ぶりの中銀目標-利下げ期待は後退
7月4日の総選挙の投開票を控え、政治的介入の印象を避けるためMPC当局者は沈黙を守っており、最新データをどう解釈すべきか投資家に洞察をほとんど与えていない。政策担当者がいつ行動を起こすか、8月の最新経済予測がどう変化することになりそうか、手掛かりを求めて今回の決定が特に注目されることを意味する。
MPCは5月の政策金利据え置きを7対2で決定し、ラムスデン副総裁とスワティ・ディングラ委員が0.25ポイントの利下げを主張した。選挙期間に入り別のガイダンスを提供する発言がないことだけが理由としても、その決定が繰り返されると大部分のエコノミストは想定している。
ブロードベント副総裁にとっては最後のMPCになるが、ブルームバーグ・エコノミクス (BE)は後任のクレア・ロンバルデリ氏をよりタカ派的とみている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ英国担当エコノミスト、ダン・ハンソン氏らは「再び予想を上回ったサービス部門のインフレ率が、英中銀にとって居心地の悪い数字となり、年内の金融緩和のスピードに慎重になる可能性が高い。ヘッドラインインフレ率の2%への低下は、夏(恐らく8月)の利下げ開始を正当化する理由になると引き続き考えている」と見解を示した。