「仕事は一度カタチにしてから、その後に乗せる熱量次第でクオリティが上がる」漫画家 になる夢を叶えた 中丸雄一の覚悟
今年6月に念願の漫画家デビューを果たした中丸雄一さん。『月刊アフタヌーン』での短期集中連載『山田君のざわめく時間』が早くも単行本として発売されることが決まり、これまでも多方面で才能を発揮してきたアイドルの新たな一面に注目が集まっています。ボイスパーカッション、イラスト制作、動画編集、そして漫画。多忙なアイドルでありながら、次々と特技を増やせる理由とは? 漫画制作の裏話はもちろん、目標を叶えるために地道に努力を続けるコツを語ってもらいました。随所に中丸さんの実直な人柄が伝わるインタビューを前後編に分けてお届けします。 【漫画家・中丸雄一】フィルムカメラで撮影された写真とともに…
――月刊アフタヌーン8月号の短期集中連載『山田君のざわめく時間』が待望の単行本化! まずは今の率直な気持ちを教えてください。 中丸さん(以下敬称略)「月刊アフタヌーンで連載を持たせてもらえた時点でめちゃくちゃ嬉しかったのですが、単行本を出すことも密かに夢見ていたことだったので、ようやくここまで辿り着けたかと。すごく感慨深いですね。とはいえ、連載の準備を始めた頃から振り返ると、あっという間に時間が過ぎた気がします。 というのも、連載の最終話は特別にカラー原稿を4ページ描かせてもらうのですが、そんな感じで毎回のように新しいことに挑戦させてもらっていたので、無我夢中で漫画を描いていたらどんどん月日が経っていた感覚です」 ――同作は毎日の中に潜む些細なことに“ざわめいて”しまう青年・山田雄一(やまだおいち)の日常を描くショートストーリー。マッサージ屋さんで揉んでほしい場所をうまく伝えられずにざわざわするなど、「わかる!」と共感してしまうシチュエーションが多数登場しますが、掲載されているネタはどんな瞬間に思い浮かぶんですか? 中丸 「誰しも、わざわざ友だちに言うレベルではないけど、『この状況は何なんだ?』って胸がざわっとする瞬間があると思います。だからこの連載を描くようになってからは、私生活でざわっとした出来事をちゃんとメモに残すようになりました。 連載の作業って、大きく3つに分けると、ネタを探す時期、ネーム(コマ割りやキャラのポーズを大まかに決める)を作る時期、ペン入れ(本番の原稿を描く)の時期があって、最初のネタ探しの段階ではかなりアンテナが敏感になっています。ネタのストックがいっぱいあるわけじゃないんですけどね」