東東京・関東第一との準々決勝。七回、高橋に初球のチェンジアップを左翼席へ運ばれ、1－2で惜敗した。悔しさを糧に大会後もトレーニングを欠かさない。

「プロは結構走ったりするので、下半身のトレーニングに重点を置いている。デッドリフトやスクワットでお尻回り、ハムストリング（太もも裏）を鍛えている」

将来は「米」へ

今夏の甲子園後、U－18日本代表に選出され、アジア選手権に出場。準優勝に貢献した。スカウトの評価が高まる中、国際大会を経験した左腕の目は世界を見つめる。

「将来的にはメジャーに挑戦したい。大谷翔平投手、菊池雄星投手、前田健太投手、ダルビッシュ選手のように結果を残したい」

夢の実現へ、まずは日本で結果を残す。プロ入り後の理想像について力を込めた。

「何勝とかにはこだわらず、チームのために、というのをやっていきたい。身長を生かして活躍できる唯一無二の投手になりたい」

大志を抱く17歳は、吉報が届くのを心待ちにする。

★「謙虚」色紙に込めた思い

藤田が色紙にしたためた「勝った時こそ謙虚に」。湘南ボーイズ時代のヘッドコーチである佐藤全志さんからもらった言葉だという。中学2年時、試合に勝ち、ナインが浮かれていた中で、佐藤コーチが全員を呼び寄せた。「勝ったチームは負けたチームの思いも背負っている。胸を張るのはいいことだが、羽目を外すのは違う。〝勝った時こそ謙虚に〟次の試合に向けてまた頑張れ」と諭した。左腕は「勝ったときは見られている。この言葉があったからこそ、次に向けて頑張れるという思いがある」と恩師の言葉を胸に刻む。

■藤田　琉生（ふじた・りゅうせい）

2006（平成18）年11月17日生まれ、17歳。神奈川・藤沢市出身。小学1年時に羽鳥ファイターズで野球を始める。中学時代は湘南ボーイズに所属し、東海大相模高に進学。今夏の甲子園で8強。今年8月28日の高校日本代表－大学日本代表との壮行試合で最速150キロを記録。9月のU－18（18歳以下）アジア選手権では2試合で5回⅔、無失点で準優勝に貢献。母の賢枝さんはNECの元バレーボール選手。198センチ、96キロ。左投げ左打ち。