【今こそ行きたい大人の滋賀旅行】陶器の街で味わう絶品チーズケーキとコーヒー
深呼吸したくなるようなブレイクタイムは、旅時間を一層豊かなものへと誘う。向かったのは、滋賀県。琵琶湖の恵みを礎とした豊かな風土で出合ったのは、肩肘張らないセンスの良さ。自分の内側に眠っていた優しい気持ちが目覚めるような、とっておきのカフェを紹介したい 【写真】滋賀で訪れたいカフェ
《EAT&BUY》「TORASARU(トラサル)」 陶都の里山で“MEETS THE チーズケーキ”
とびきり美味しいチーズケーキと珈琲が味わえると聞きつけ、里山の長閑な風景を目の端に映しながら「TORASARU」を尋ねた。黒を基調としたシャープな外観、インダストリアル調のモダンな店内、ハニカムタイルのカウンターがモード感を漂わせ、京都の「葡萄ハウス家具工房」で誂えたヴィンテージ調のテーブルには1脚ずつを選び抜かれた椅子が添えられている。 山居のカフェとは思えない空間で、さっそくお目当てのチーズケーキをいただくことに。ショーケースを覗くと、濃厚なチーズの風味を楽しむ「ベイクド」、ヨーグルトを混ぜた爽やかさが魅力の「レア」、表面の香ばしさと内側のしっとり感のコントラストが人気の「バスク」の3タイプごとに数種類のテイストが揃い、色とりどりのチーズケーキが並ぶ。
チーズケーキを担当するのは、店主の副島 龍さん。それまでお菓子作りの経験はなく、試行錯誤で素材や配合を微調整しながら約20年。今では、チーズケーキの美味しい店として知られるほどに。 「自分の中に壁を作らずに、気になるものは試してみる。何種類も試すなかで、一つのきっかけが見つかればいい」と語る。 信楽の銘茶“おくみどり”を使った「朝宮抹茶レア」は一番茶ならではの風味とクリーミーな口溶けが絶妙。「ゴルゴンゾーラレア」は熟成した青カビの香りにヨーグルトのほどよい酸味が調和して思わずワインが欲しくなる。 ホロホロのビスケット地もこだわりの一つ。ほんのり効かせたスパイスや洋酒、ナッツやドライフルーツの歯応え、シナモンや黒砂糖の風味をいかしたものなど……違う性質のものたちを、案配をみながら、分離しないように調和のうちに溶け込ませていく。細心の注意をはらって、少しずつ、少しずつ。それは、人間も社会も一緒だと、旅先から日常に思いを巡らせた。