見た目の美しさに加え、栄養価の高さでも注目されるエディブルフラワー
お料理を華やかに彩るエディブルフラワー(食べられる花)。生花店で売られている花と異なるのは、植物自体に毒がない花であることはもちろん、野菜と同じく、安全に食べられるように育てられていることです。最近は、見た目の美しさだけでなく、食物繊維やビタミン類が多く、抗酸化作用があるなど栄養価の高さでも注目されています。 『やさいの時間』連載「レアベジ探訪! プロに聞く」。第12回は、東京都清瀬市でエディブルフラワーを栽培する横山園芸の横山直樹さんにお話をうかがいました。 2・3月号より一部を抜粋。 東京都清瀬市で花栽培を手がける横山直樹さんが、エディブルフラワー栽培を始めたきっかけは東京オリンピック。野菜の生産者団体から「東京で新鮮なエディブルフラワーの生産をしてほしい」と要請を受け、「お花を食べるなんて」と複雑な気持ちで栽培を始めましたが、一般的な園芸品種の花を野菜として育てることの大きな壁が立ちはだかったといいます。 「最も難しいのは病害虫。指定農薬が少ないため、消毒をしないで花を栽培する難しさを、最初の1、2年は思い知らされました。花の品種選びや、肥料の種類など数々の試行錯誤の結果、最近は徐々に納得のいく花を栽培できるようになってきました」
花は一輪一輪手摘みして切り花のように十分に水を吸わせて花束にし、切り口を保湿してから容器に詰めて出荷する。普通のブーケと変わらないような愛らしさがある。
「最近は彩りのためでなく、味わうために取り入れるシェフも増えています。エディブルフラワーは、味、香り、見た目、食感のよさだけでなく、心の癒やしにもなる食材。人気、知名度とともに、日本の食卓に定着する日も近いのではないでしょうか」
横山直樹(よこやま・なおき) 父親が始めたダイヤモンドリリー、クリスマスローズなどの育種・生産を継承・発展させつつ、エディブルフラワーの生産も手がける。座右の銘は、農業の師匠でもある祖父の「足跡にまさる肥やしなし」。 ●『やさいの時間』2024年2・3月号「レアベジ探訪! プロに聞く」より