紅麹だけじゃなかった…日本人が知らずに飲んでいる「ヤバいサプリ」の実名
知られざる紅麹の「副作用」
発覚してから3週間以上が経ったものの、いまだに余波が続く小林製薬のサプリメント「紅麹」の問題。腎臓疾患などで5人が死亡し、のべ236人が入院する(4月17日時点)という未曽有の被害をもたらしている。 【一覧】クスリとサプリ「危ない飲み合わせ」がこんなにたくさん… 予防医療サプリメントアドバイザーの柴田丞氏が、事件の背景事情を分析する。 「小林製薬は製薬会社でありながら医薬品をあまり作っておらず、『ブルーレット』などの雑貨で成長してきた企業です。クスリに関しても、内臓脂肪を取る『ナイシトール』などキャッチーな商品名で消費者を引きつけてきた。その反面、安全管理に対する意識が低くなっていたのかもしれません」 同社の発表によると、紅麹サプリの一部から青カビ由来の「プベルル酸」が検出され、これが腎疾患の原因と言われている。 しかし、「たとえプベルル酸が混入していない紅麹であっても、飲み方を誤れば健康を損なってしまう」と話すのは、銀座東京クリニック院長の福田一典氏だ。 「紅麹サプリには『モナコリンK』という成分が含まれていますが、これは医薬品として使われるロスバスタチンそのもの。一歩間違えれば副作用が生じるリスクもあるわけです。実際にロスバスタチンには、筋肉が融解していく横紋筋融解症という重い副作用があります。 医薬品ならば用量や用法が厳格に決まっているものの、サプリではそこまでの安全性は考慮されていません。それゆえ素人判断で飲むと、かえって健康を害してしまう可能性もあるのです」
「健康食品」を摂取して死亡
薬局やネット通販で気軽に買っているサプリや健康食品の中にも、予想外の副作用を引き起こすものは多い。過ぎたるは猶及ばざるが如し―体調や適量を見定めたうえで服用しないと、むしろ「毒」にもなりかねない。 これまでもサプリや健康食品が悲惨な健康被害をもたらした事例は、枚挙にいとまがない。2003年には、東南アジア原産の植物「アマメシバ」の粉末を摂取した40代女性が、重篤な呼吸器障害を引き起こした。2007年にはスギ花粉を含む健康食品「パピラ」を摂取してアナフィラキシーショックを起こし、意識不明の重体に陥ったケースもある。 また2017年には、マメ科の植物「プエラリア・ミリフィカ」を含むサプリで、アレルギー症状などの訴えが220件以上も発生した。しかし日本の製品による死亡例は、今回の紅麹が初めてだ。 「ここまでひどいのはごく一部だけで、私が飲んでいるサプリは大丈夫」――そう思っていると足をすくわれる。たとえば魚の油から抽出されるEPAも、実は紅麹と同じリスクを抱えているのだ。 銀座薬局の薬剤師・長澤育弘氏が解説する。 「EPA製剤は高脂血症の治療にも使われるれっきとした医薬品で、もちろん副作用もあります。過剰に摂取すると血液が固まりにくくなって脳出血など致命的なトラブルにつながるうえ、不整脈のリスクも高まる。とくに脳出血の病歴がある人は控えるべきです」 ネット通販サイトの人気サプリランキングで鉄(鉄分)は必ず上位に入るが、飲み方を誤れば重篤な副作用が生じる。 「鉄分を摂取しすぎると体内に溜まり、鉄過剰症になってしまう。鉄分が沈着した臓器に応じて、肝機能障害やすい臓がん、心不全などさまざまな症状が生じます」(長澤氏)