『めざまし』お天気でデビューから15年…長野美郷アナが変えたかった女性報道キャスターの“見られ方”
BSフジ『LIVEプライムニュース』を担当して5年
耳に残る透き通った声で丁寧に解説し、鋭い質問も投げかける。フリーアナウンサー・長野美郷。朝の情報番組のお天気キャスターからキャリアをスタートし、憧れていた報道番組キャスターの座を射止めて5年。長野にこれまでの歩み、今後のビジョンを聞いた。(取材・文=一木悠造) 【写真】ミントグリーンのスカートですらり 報道キャスター歴5年の長野美郷の全身ショット 長野はフジテレビ系情報番組『めざましテレビ』のお天気キャスター、『めざましどようび』の総合司会を経て、2019年春からBSフジの報道番組『LIVEプライムニュース』(月~金曜午後8時)の木曜、金曜のキャスターを務めている。はや、6年目だ。 「6年目とは思えないぐらい、毎回、新鮮な気持ちで現場に臨んでいます。理由は日々でニュースが入れ替わるからじゃないでしょうか。毎回『はじめまして』ですし、『知らないこと』なんですよね。なので、勉強もしなきゃいけないんですが、『こんなことが起きていたんだ』『へーっ』という気持ちで過ぎたという感じです」 同番組キャスター就任当初は、自身の知識の少なさ、問題意識の足りなさにがく然とし、放送後は悔し涙をこぼしていたという。20年春からは、新型コロナやウクライナ侵攻など、歴史的な出来事を報道キャスターとして見つめてきた。 「なりたての頃からは『レベルアップできているといいな』とは思っています。いまだに毎回、放送後には『足りないな。自分は何でこんなに足りないんだろう』と感じていますが、『知れば知るほど楽しくなる。より知りたくなる』。そんな気持ちでいつも臨んでいます。6年前は何もかも分からなくて、手探りで始まったんですけど、あるニュースを理解していけるようになったら、次はその背景が知りたくなるという感じで、『私はまだまだ分かっていないから知りたい』の連続です」 長野は「知りたいが止まらない」と優しい笑顔で語る。周囲から何気なく言われたあることが、知的好奇心の火をつけるきっかけになっていた。 「プライムニュースを担当することが決まった時、周りの人から何気なく『そういう報道・討論番組の女性キャスターは静かに座っているイメージ』っていう風に言われたことがありました。私はその時、『そういう風に見られているんだ』『だったら、それを変えたいな』と思いました。この番組は女性キャスターも積極的に発言や質問ができる形でやってきたので、私も専門家ではないんですけど、一般目線で見て『なぜ?』と思ったことを直接ぶつけさせていただいています」 突発のニュースを取り込む。本番直前に予定されていた進行台本を大幅に変更する。こうしたことが日常茶飯事である報道番組に臨む長野は、準備にかける時間を惜しまない。扱うニュースのテーマ、ゲストに関するあらゆる情報を事前に可能な限りインプットする。長野が今、報道キャスターとして準備を大切にするのは伝えるべきニュースについて、「自分が率直にもっと知りたい」という気持ちが根底にあるという。 「今は情報がすごくあふれていますし、世の中の流れがすごく速い。なので、ついていくだけでも精いっぱいだったりはするんですけど、その出来事に対していろんな見方、理解の仕方、解釈がありますが、『じゃあ、自分はどう思うのか』までに落とし込めたらいいと思っています。ニュースの事実関係や背景などの情報量と、さまざまな専門家などが持っている意見の情報量、幅広さみたいなものもできるだけ多く自分の中に取り入れたいなと思っています。取捨選択の難しさはありますが」 番組では、反町理キャスター(フジテレビ解説委員長)のゲストの“答え”を引き出す質問が特徴的だ。また、長野によるパネルを用いた丁寧な解説も視聴者に好評。実際、長野は反町から多くのことを学んでいるという。 「2時間の放送では毎回、疑問になることがあるので、いつも質問させてもらっています。聞けば聞いた分だけ教えてくださるし、ヒントをくださいます。理解しきれなかったところとか、放送中に自分に足りなかった部分については、終了後に『ここってどういうことなんですか」と聞いたりしています。私が次々と質問しても、反町さんは丁寧に教えてくださるのでありがたく感じています」 反町キャスターは、自著(『伝える極意』扶桑社新書)で、長野らが務める番組のサブキャスターの役割を重要視していることを明かしている。長野は反町からの期待をどう受け止めているのだろうか。 「反町さんはテーマについて事前にかなり深く独自取材されていて、だからこそ、番組ですごく深いところの議論までお届けできます。一方で、一般的な知識を持ってお話を聞く中で、例えば議論の入り口の部分などで素朴な疑問を持つことも、私にはあります。そういう時には、臆することなく質問するようにしています。『私がキャスター席に座らせてもらっている意味ってなんだろう』と考えた時、『そうした目線を大事にしたい』というのはすごく意識しています」