「またメシと歌?」「澤部佑と佐藤栞里ばかり」…民放「春の新番組」がまったく話題にならない「根本的な理由」
放送前から不安視する声もあった
春の新番組がスタートしてから約1ヵ月が過ぎ、それぞれの内容や全体の傾向が見えつつある。 【一覧】テレビ局「本当は使いたくないタレント」…ワースト1位は意外な大御所…! 今春から民放各局のゴールデン・プライム帯(19~23時)でレギュラー放送されている新番組は、『世界頂グルメ』(日本テレビ系)、『with MUSIC』(日本テレビ系)、『世の中なんでもHOWマッチ いくらかわかる金? 』(TBS系)、『何を隠そう…ソレが! 』(テレビ東京系)、『ミュージックジェネレーション』(フジテレビ系)、『街グルメをマジ探索! かまいまち』(フジテレビ系)の6番組。 ただここまでは視聴率の低迷に加えて、ネット記事もSNSのコメント数も少ないなど、新番組としては悲しいほど話題になっていない。厳しさを感じさせられるのは、新番組の背景や放送内容を掘り下げていくと、その理由が「スタートしたばかりで定着していないから」ではないこと。実際、もっと根本的な問題があり、「大きなリニューアルをしない限り、見込みは薄いかもしれない」などと不安を感じているテレビマンの声を聞いている。 さらに言えば、このような苦境は放送前から業界内で噂されていた。なぜ民放各局は、これらの新番組を選んだのか。どんな背景があり、どんなところに不安があるのか。
リアルタイムの答えがグルメと音楽
まず現在の民放事情を簡単にあげておくと、やはり視聴率低下による放送収入減の流れは止めづらく、一方でTVerなどの配信再生数は右肩上がりだが、まだまだ十分な収益化には至っていない。 つまり、「放送収入減を配信収入増で補う」ことが難しく、「視聴率獲得を優先した番組制作を続けなければいけない」ということ。広告代理店やスポンサーサイドとの交渉・調整などの抜本的な改革を行わない限り、「少なくとも2020年代のうちは苦しい状況が続くだろう」と見られている。 そのため、「限られた制作費の中で少しでも放送のリアルタイム視聴を得られる番組」を作っていかなければならないのだが、今春の新番組に民放各局が出した“現状の答え”が表れていた。 『世界頂グルメ』『街グルメをマジ探索! かまいまち』はグルメ、『with MUSIC』『ミュージックジェネレーション』は音楽。日本テレビとフジテレビが各1本ずつであり、「同じマーケティングにもとづいて企画された新番組」という背景がうかがえる。 さらにTBSの『世の中なんでもHOWマッチ いくらかわかる金? 』は、お金がテーマだが、前回放送のメイン企画は「串カツ田中」と「餃子の王将」で、初回放送でも「くら寿司」、次回放送でも「牛角」と飲食チェーンをフィーチャー。お金を入口にしているが、グルメに頼る制作姿勢は同様であり、しかもTBSの土曜夜は『熱狂マニアさん! 』『ジョブチューン』と3番組連続で“グルメ押し”の編成になっている。 グルメに加えて、音楽の新番組が2つ増えたほか、今春から『CDTV ライブ! ライブ! 』の放送時間が2時間に拡大したことも含め、民放各局の意識がグルメと音楽に集中していることがわかるのではないか。 ちなみにもう1つの新番組『何を隠そう…ソレが! 』は、「偉人や芸能人、モノにまつわる逸話を語る」というコンセプトだが、いかにも主要4局とは異なる独自路線をゆくテレビ東京らしい。 では、グルメと音楽の新番組が、ここまでなぜ結果に結びついていないのか。