広島・山足が“守役”返上 過去7年でわずか5失策の守備職人が背番「69」打撃で勝負
現役ドラフトでオリックスから広島に加入した山足達也内野手(31)が20日、広島市南区の球団事務所で入団会見を行った。背番号は「69」に決まった。今季までの同僚であるオリックス・杉本からプレゼントされた赤いネクタイを締め、「ストロングポイントは守備と走塁ですが、一打席でも多く1軍の打席に立ちたい」と打撃でのアピールを誓った。投手、捕手以外の内野全ポジションをこなし、過去7年でわずか5失策の守備職人が、新天地では“守役”返上を期す。 山足が新天地での“守役”返上を誓った。新たな地位を築き上げるべく、打撃面で存在感を発揮する覚悟だ。 「ストロングポイントは守備と走塁ですが、オーナー(松田元)さんと鈴木(清明球団本部長)さんとも話をして、“打撃に期待しているよ”と言っていただいたので、頑張りたい。この世界にいる以上、一打席でも多く1軍の打席に立ちたい気持ちが強い」 心機一転を期す。7年間在籍したオリックスでは、主に代走や守備固めでの出場が多かった。投手、捕手以外の内野4ポジションをこなすユーティリティー性を売りに、計943イニング守備に就いて失策5、通算守備率・992。出場試合数が近い広島選手でいえば今季の遊撃手部門ゴールデングラブ賞の矢野の同・980を上回る。出場試合数にかなり差があるが、名手・菊池の同・990に匹敵する堅守ともいえる。一方で通算打撃成績は打率・195、4本塁打、23打点。だが、いつまでも“便利屋”に甘んじるつもりはない。そのためには打撃力強化が必須。それを自覚した上で、目指すべき打者像を掲げた。 「長打をバンバン打つようなタイプではないので、相手バッテリーの嫌がる打撃をしたい。いろいろ経験をしたり、いろいろ選手を見てきたので、いいところを打席で披露できるように頑張りたい」 とはいえ今季はキャリア最少2安打と、技術面の向上も必要だ。そこで来年1月、オリックス・杉本と沖縄県内で行う合同自主トレではコンタクト率アップをテーマにレベルアップを図る算段だ。21年に打率・301、32本塁打をマークした強打者の打撃から、飛躍の鍵を探る。 「やってやろうという気持ちでいる。自分ができる精いっぱいのプレーで、信頼を勝ち取りたい。まずは第一印象が大事だと思うので、負けないように春季キャンプからアピールしていきたい」 武器とする守備で突破口を開き、課題の打撃で存在感を示すことができれば、おのずとチャンスは増える。その鉄壁の守備から「時代は山足」のフレーズで親しまれた男が、新天地で一時代を築くべく闘志を燃やす。(長谷川 凡記) ◇山足 達也(やまあし・たつや)1993年(平5)10月26日生まれ、大阪府出身の31歳。大阪桐蔭、立命大、Honda鈴鹿を経て17年のドラフト8位でオリックス入団。新人の18年はオープン戦で活躍して開幕戦2番・二塁でデビューも、直後の4月3日に左膝負傷で一時離脱した。俊足と安定した守備が持ち味で、21年以降は主に代走、守備固めでの起用。1メートル74、76キロ。右投げ右打ち。 【山足に聞く】 ――移籍が決まった時の気持ちは。 「環境を変えてやってみたい気持ちもここ何年かあった。でもオリックスも好きだったので、寂しい気持ちと、頑張ろうという気持ちの両方があった」 ――移籍に際して連絡を取った選手は。 「(現役ドラフト)当日に12球団対抗ゴルフで、野間さんと一緒に回らせてもらっていた。同じ関西人で息が合って、めちゃくちゃ仲良くなり、その日に野間さんに伝えたら、喜んでくれた」 ――マツダスタジアムの雰囲気は。 「広島カープは、地元のファンの熱い声援が一番だと思うので、それを打席に立って感じたいという気持ちが強い」 ――守備の自信は。 「派手なプレーはできないですが、投手の打ち取った打球はアウトにしてあげたいと常に思っている。いろんなポジションを守れるのも武器。いろんなポジションで、打ち取った打球というのは1つのアウトにつなげていきたい」 ――新天地での意気込みを。 「これから広島になじんで、広島の野球に溶け込んで、広島を盛り上げられるように頑張ります」