朝ドラ『ブギウギ』主題歌でも注目、さかいゆうが老若男女を魅了する理由
聴こえてきた瞬間、手を止めて聴き入ってしまう。透き通るような声と伸びやかで甘い熱をおびた歌唱で、多くの人を虜にするシンガーソングライター・さかいゆう。 【動画】きっと聴いたことがあるはず、『薔薇とローズ』 現在放送中の朝の連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)でヒロインの趣里、EGO-WRAPPIN'の中納良恵とともに歌う主題歌『ハッピー☆ブギ』で、初めて彼の存在を知った人も多いかもしれない。 実は彼の経歴は、少々変わっている。高知県で漁師の息子として演歌と歌謡曲しか知らないまま育ち、音楽の道を志したのは18歳のとき。ミュージシャン志望の親友を交通事故で失ったことで、楽器が何もできない状況で東京の音楽専門学校へ。2年後にはLAに渡り、毎日ライブハウスや教会で音楽を浴びるように聴き、やがて生活費を稼ぐため、初めてキーボードを手に路上でライブを始める。 ソウル、R&B、ジャズ、ゴスペル、ロックなど、多様な音楽をスポンジのように吸収し、ストリートの人々の前で感性の赴くままに表現する。思わず踊り出したくなるグルーヴ感と老若男女を魅了する普遍性を持つ彼の音楽は、そんな環境下で純粋培養されたものだ。 ドラマ『のだめカンタービレ フィナーレ』の主題歌となった『まなざし☆デイドリーム』、三菱自動車eKワゴンのTVCMソングとしてヒットした『薔薇とローズ』など、タイアップの多さも、彼のソングライティング力と声の魅力を物語っている。 ■ 自由で爽快で音楽への愛情と楽しさにあふれるライブ 小泉今日子、SMAP、Sexy Zoneはじめ、他アーティストへの楽曲提供も多く、ポップ・マエストロ的な一面も持つが、ライブではエンタテイナーとしての資質が爆発。ピアノを身体の一部のようにアクロバティックに奏でながら歌いまくるパフォーマンスは、自由で爽快で音楽への愛情と楽しさにあふれている。 カバー曲も絶妙なアレンジと歌唱でオリジナルさながらに歌い上げる姿は 往年のポップスターのようなスダンダード感を漂わせる。なるほど『ブギウギ』に抜擢されたわけだ、と納得するはずだ。 そんな彼がデビュー15周年を記念した初のベストアルバム『さかいゆうのプレイリスト[白と黒]』を携えたツアーを開催。関西では2024年3月24日に「大阪国際交流センター 大ホール」(大阪市天王寺区)でおこなわれる。このツアーも彼のキャリアを総括する濃密なものとなりそうだ。チケットは2月17日発売(6600円、全席指定)。 文/井口啓子